「運河の底」 感想 そのトイレに入る必要はあったか?

概要

原題:The Canal
製作:2014年アイルランド
発売:配信のみ
監督:イヴァン・カヴァナ
出演:ルパート・エヴァンス/アントニア・キャンベル・ヒューズ/ハンナ・ホークストラ

映像記録局で働くデヴィッドは、妻の浮気を疑い欝々とした日々を送っていた。そんなある時、職場で1902年に起きた殺人事件の資料フィルムを観る。なんとそれはデヴィッドの家で起こった事件であった。妻の浮気と過去の殺人事件がデヴィッドの精神を蝕み、狂気へと駆り立てていく…

予告編





感想


2014年のアイルランド製作のホラー映画。
日本では今月からプライムビデオで配信開始。



アイルランドのホラー映画ってあまり観る機会ないんですよね。今まで観た中で思い出せるのはせいぜい「ホール・イン・ザ・グラウンド」「ポスト・アポカリプス」「ダーケスト・ウォーター」ぐらいしかない。ホラー以外のことは知らんけど、どれも頭から尾っぽまでものすごく暗くて欝々とした映画ばかりでした。そういうお国柄なのかな。

しかもアイルランドと言われてもあまり具体的なイメージが湧いてこない。地図上はイギリスのおまけのような小国で、IRAとかいう物騒な組織があることくらいしか知りません。

ですが、本作は日本のホラー映画から非常に強い影響を受けていると思われます。まあ、つまりは「リング」のことですが。過去の殺人事件の映像は「呪いのビデオ」を彷彿とさせるし、クライマックスの恐怖シーンはテレビから這い出てくる貞子ほぼそのまんまです。なので、よく知らない国の映画とはいえ日本人によく馴染み受け入れやすいホラー映画だと言えます。


妻アリスの浮気を疑い、尾行して現場を目撃してしまったデヴィッド。彼はショックのあまりド汚い公衆便所で嘔吐してしまう。その夜からアリスは行方不明となるが、デヴィッドは公衆便所からアリスが何者かに襲われる様子を目撃していたのだった。

それに加えて1902年にもデヴィッドの家で浮気妻が殺害された事件があったと知り、心霊の影に怯えて精神に異常をきたし始めてしまう…という話。しかし主人公のデヴィッドに感情移入させない作りのため、あんまり心霊ホラーという感じはしません。デヴィッドが勝手に病んで幻覚を視て奇行に走り、殺人を犯しているんだろうなと思わされます。


デヴィッドの幻覚だと分かっていても、「リング」のコピーっぽくても、恐怖シーンの演出は秀逸です。私はほぼ洋画しか見ないのでこういう陰湿な心霊ホラーは滅多に目にすることがないんですが、ゾッとして鳥肌が立つような場面が何度かありました。たまにはジメジメした恐怖も悪くない。


…まあ、そんなのより一番怖かったのは信じられないほどド汚い公衆便所でのたうち回って嘔吐してたデヴィッドの姿なんですがね。あんなにも尋常じゃなくキタネエ便所は初めて見ました。チンピラとか犯罪者専用のトイレにして、かつ50年間一切掃除しなかったらあんな風になるかもしれんというレベル。多分世界で一番不潔な場所なんじゃないかな。セットとは思えないリアルさだったけどまさか本物じゃあるまいな…

デヴィッドは「その辺で嘔吐したら汚いからちゃんとトイレで吐かなきゃ!」みたいな気持ちであの公衆便所に行ったんでしょうけど、どう考えてもその辺の草むらですりゃいいのにとしか思えなかった。あんな汚物まみれの便器と床に触りまくってたら絶対病気になりますよ。下手したらそのせいで精神に異常をきたし始めたのではないかとさえ思えてくる。

…ということで何だか心霊よりもトイレの方が印象に残ってしまいましたが、プライム配信作品の中ではかなり上質なホラーだったので会員の人は見ても損はないかと思います。

コメント