「プルーフ 神の存在」 感想(ネタバレあり) 神に止めを刺すのは科学か、悪魔か

概要

原題:Irrefutable Proof
製作:2015年アメリカ
発売:アマゾンプライムビデオ
監督:ジアド・H・ハムゼ
出演:シーナ・コレット/サムエル・フィン・カトラー/マーク・サンドラー

宇宙に神の関与はないという説を証明することに人生を賭けた天才女性物理学者。悲惨な交通事故によって夫を失ってもなお自分の研究に没頭するあまり、謎めいた世界へと迷い込んでしまう。古くから続く科学と宗教の対立をテーマに描く衝撃のオカルト・サスペンス!
(↑アマゾン商品紹介より)

予告編




感想






本日からプライムで配信開始のかなり怪しげなオカルトサスペンス映画。
そこそこ難解な内容なので字幕付けた人は結構大変だったんじゃないかなと思うんですが、こんなわけわからん宗教映画をプライムで配信してどれだけの利益が出るものなんでしょうかね。ほんとプライムは魔窟だなと思います。


主人公は聖ゲネシウス大学で教鞭を執る天才物理学者ジニーン。彼女はキリスト教の司教が運営している大学でわざわざ「神などいない」と学生に講義し、家族や学生、司教など周囲全ての人間から激しい反発を食らっていた。だがある人物の手助けを得て、この世を創造したのは神ではないこと…神の不在を科学的に完全証明してしまう。その結果、彼女は世界中の「神を信じる者」を敵に回すことになるのだが…。



…という話。
アメリカでは進化論を否定し「知性ある何か」(≒神)が万物を創生したのだというインテリジェント・デザイン論を信奉している人間が多いらしいですね。本作では主人公のジニーンだけが神の不在を主張し、周囲のキリスト教原理主義者からボコボコに叩かれて非難されまくっています。現実のアメリカ人もそこまで原理主義者だらけではないだろうと思いますが。というか、キリスト教系の学校で神の不在を一生懸命教えるジニーンもどうかしているとしか思えない。宗教色の無い学校でやれよと。まあ学生の洗脳を解くためにあえてそういう学校で教えていたのかもしれませんが、雇う方の意図は全く分かりません。


そもそもインテリジェント・デザイン論などというアホなものを妄信している人間にいくら「神はいない」と説いたところで理解されるはずもなく、だから「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」なる新興宗教が生まれたりもしたわけです。ジニーンは神を否定することに躍起になるのではなく、宇宙は空飛ぶスパゲッティ・モンスターが大酒を飲んだ後に創造したのだと主張するべきだったんです。ちなみに当然ながら私もスパモン教を信仰しております。

…ところが、大昔に引退したある科学者のアドバイスでジニーンは神を科学的に完全否定することに成功します。と言ってもその辺の理屈は何も語られないので具体的にどう否定したのかは全然分からんのですが。

ここまでを見ると、この映画は「神など存在しない」「科学こそが神である」と主張したいんだなと思えます。一般的な無神論者またはスパモン教信者からすれば至極妥当なメッセージ性ですね。アメリカ人がこういう映画を作るとは珍しいこともあるもんだなあとうっかり感心しそうになりました。

しかし、本作はそこからいらんどんでん返しを仕込んでいました。なんと、ジニーンを手助けした科学者というのが実は悪魔だったという驚愕の展開。そこからのオチは何だか曖昧模糊としていてよく分からんのですが、結局「神の否定は悪魔の所業だった。神を否定してはならないのだ」ということだったんではないかと思います。最悪ですね。

ということで、まあ神を信じる者だけが観ればいい映画かなと思います。

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