「クリーナー 復讐の女神」 感想 闇の底へと突き進め

概要

原題:SAYARA

製作:2024年トルコ

発売:アットエンタテインメント

監督:ジャン・エヴレノル

出演:ドゥイグ・コジャビイキ/エミリ・キヅィレルマク/オズグ・コサシュ/レヴァント・ウヌ/ジャネル・アタジャン


イスタンブールのジムで掃除係として働くサヤラ。ジムのオーナー・バリスに密かに想いを寄せているサヤラだったが、バリスは妻子持ちなうえにサヤラの姉と不倫関係にあった。だが、サヤラの姉がバリスと仲間たちに殺されてしまう。サヤラは父親仕込みのコマンドサンボを使い、バリス一味を惨殺していく…


予告編

感想



鳥頭Nさんご推薦のトルコ産映画。

てっきり舐めてた相手が強かった系爽快リベンジアクションかなと思ってたら、とんでもなくえぐいスプラッターホラー映画でした。下手な殺人鬼より殺意全開の殺戮シーン満載でかなり怖いよこれ!



主人公サヤラは裏社会の仕事をしていた父親からソ連の軍隊格闘術コマンドサンボの教育を受けた強者。しかし「習った技を使わない」と誓っており、トレーナー転向の誘いも断りあくまでジムの掃除係として地味に働いている。



ストーリーは殺された姉の敵討ちになってるんですが、どうもそういう風には見えないんですよね。サヤラはジムのオーナーを巡って姉と険悪な仲になってるし、姉は姉で色々ネジの外れた生き方をしているため、悪い男(バリス)に引っかからなくてもどのみち長生きできないタイプ。その性分は家庭の影響なのか、迫害されてきた移民の事情もあるのか。



そんな姉だから…とは言わないけど、姉ひとりのリベンジにしてはオーバーキルにもほどがあるんです。バリスの仲間や奥さんどころか、全然関係なさそうなバリス家のお手伝いさんまで勢いよく刃物で滅多刺しにしていく様はブギーマンより容赦ない。相手が屈強な男だろうが複数の男たちであろうが、刃物でドスドス何十回も突き刺す様は相当異様です。殺し合いにおいて勝敗を分けるのは殺意の強さなのだと言わんばかり。



一見華奢な女性であるサヤラのこのバーサーカーぶりは一体どういうことなのか。その原因には父親の物騒な教えがありました。



「俺の闇はお前の中にもある

でも、もし誰かが一線を越えてきたら…

お前やママや姉に何かあったら…

徹底的にやり返していい

まばたきせず、闇の底へ突き進むんだ」



コマンドサンボだけでなく犬歯で相手の頸動脈を噛み切る殺人技まで教えたうえで「闇の底まで突き進め」とは、サヤラは父親の呪いによって生まれた殺人マシーンなのか。そんな教育してるから人間いつになっても争いが絶えないんだよなと思いつつ、サヤラが拘束した主犯5名と「ひとりずつタイマンするよ」と宣言するクライマックスは結構燃えます。



と思ったんですが、いや確かにコマンドサンボ的な締め技は存分に見られてエキサイティングなんですが、噛み付き喰いちぎり顔面フル破壊やらのオーバーキルで相当グロいことになっており、「何もそこまで…」という顔になってしまいました。邦題はクリーナーなのに血と肉で部屋を取り返しがつかないほど汚しまくりです。バリスとの決着も今までに見た事がないやり方でビックリ。本当は好きだったから、好きだったアンタにそんなことされたから余計に殺戮に狂っちゃったのよ…っていうことでいいんでしょうか。完全に胸糞系スプラッターサイコホラーの後味ですが、そういうものとして見ればかなりのインパクトがあり、楽しめました。





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