「ゴーストライター 夢幻地獄」 感想 観ている者をも困惑させる

概要

原題:The Ghost Writer

製作:2022年イギリス

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:ポール・ウィルキンス

出演:ルーク・マブリー/アンドレア・デック/ブレンダン・パトリックス/マシュー・ジュール/ロバート・ポータル


スランプ中の作家ギリガーは、名作家だった亡き父アーウィンが遺した山荘に空き巣が入ったという不動産会社からの連絡を受けて、約20年ぶりに現地へ赴いた。かつて父は、“山荘に女神がいる”と代理人に語っていたという。山荘に到着したギリガーは、父の書斎で原稿を書き始めようとするが、なかなかうまく書けずにいた。気晴らしを兼ねて排水管の詰まりを調べていると、その中から「真実を求めて」と題された、まだ公になってない父の小説を発見する。と、その時、突然外から謎の美しい女ジェーンが家の中に入り込んできた。それはこの後、ギリガーが体験する悪夢と現実が交錯していく恐怖の幻惑世界の始まりでもあった。

(↑アマゾンより)


予告編

感想



売れない作家が山荘に籠って何だかおかしくなっていき、現実と妄想の区別がつかなくなっていく…という、わりとよくある感じの英国製サスペンス謎映画。






どこまでが幻想で、どこまでが現実なのか――

――みたいな話もまず面白かった試しがないので非常に苦手なんですが、

「観ている者をも困惑させる」

の一文に惹かれてつい観てしまいました。

普通ならそこは「幻惑させる」とかそんな表現にするところでしょうに、あえて困惑というからにはよっぽどアレに違いない。



しかし、甘かった。何と困惑する前に爆速で意識を失ってしまったのです。いや、別に眠っていたわけではなく一応画面は観ていたんですが、虚無的すぎて何も頭に入ってこない。それはまあ想定の範囲内としても、困惑目当ての好事家を困惑させてくれるほどヘンな事は起きてくれない。



ひとつだけ面白かったのは、主人公の売れない作家がなぜか若い男に手を縛られて首つりを強要される場面。なんとかライターで拘束を解こうとヒモを炙ったら「アッチィー!!!」となって椅子を蹴ってしまいうっかり本当に首を吊ってしまうところですかね。まあそれも当然幻想なわけですが。



あともうひとつ気になるところを挙げるとすれば、アマゾンの説明で「父の書斎で原稿を書き始めようとするが、なかなかうまく書けずにいた。気晴らしを兼ねて排水管の詰まりを調べているとっていう部分です。いくらスランプ中の作家とはいえ、排水管の詰まりを調べることが気晴らしになる人間など今まで見た事がありません。というか「排水管の詰まり調査」「気晴らし」は対極に位置する概念と言っても過言ではない。排水管の詰まりの原因なんか何でもいいからとにかくパイプユニッシュをぶち込んで流すだけで終わりにしたいのが普通の感覚ではないでしょうか。



ということで排水管の詰まり調査シーンを楽しみに観ていたんですが、主人公の売れない作家はただただ不機嫌そうな顔で排水管の詰まりを除去しているだけで気晴らし感ゼロでした。そりゃそうだ。TWAの人はこのシーンの何を観て気晴らしだと思ったのか。



しかし、よく考えるとこの手の謎映画もある意味配信サイトという名のパイプに詰まった謎の異物みたいなものであり、そういうものを調べることで気晴らしにしている私も人のことは言えないかもしれません。399円払ってレンタルしたことを後悔しながら、今日はそんな風に思いました。




「ゴーストライター 夢幻地獄」(Amazon Prime Video)


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