「ステイ・ホーム」 感想 外の世界など存在しない

概要

原題:IL NIDO/The Nest

製作:2019年イタリア

発売:アミューズソフトエンタテイメント

監督:ロベルト・デ・フェオ

出演:フランチェスカ・カッヴァリーニ/ジュネーヴラ・フランチェスコーニ/ジャスティン・コロフキン/マウリツィオ・ロンバルディ/ファブリツィオ・オデット


広い邸宅と領地を持つ富裕層の少年サムエルは、厳格な母親エレナに敷地から出ることを禁じられていた。ある日、新人のお手伝いさんとして同年代の少女デニーズがやってくる。サムエルはデニーズと心を通わせるうち、外の世界へ出てみたいと考えるようになるのだが。


予告編

感想


「コロナウイルス~感染者~」とかロックダウン 非常事態もそうだったけど、これだけ世界中で苦しんでいる人がいる中、コロナ禍そのものに便乗したDVDを堂々と出せるレンタル映画業界の商売根性は素晴らしいですね。キャッチコピーも「わが家にまさるところなし」ってことで、「家に籠ってこのDVDを見てればいいじゃない」というレンタル映画業界の社会貢献的な心意気を感じます。



まあ原題もそんなにかけ離れた意味ではないし、実際家に引きこもっている少年が主人公なので別にいいっちゃいいんですが、問題なのは大して面白くないことですかね。近年めっきりホラーを作らなくなったイタリア製の新作ホラーなので多少期待して観たんですが、1時間48分の尺が異様に長く感じるテンポの悪さと刺激のなさにはまぶたが重くなるのをこらえきれませんでした。あと2~30分カットしてくれれば…。



車椅子の少年サムエルは、領主の息子として母親に厳しく育てられ、またその敷地から出ることを固く禁じられていた。だが、ある時からメイドとしてやってきた少女デニーズと出会い、交流するうちに母親の支配を逃れて外の世界へ行きたいと渇望するようになる。


わりとよくある話だと思いますが、ゴシックなムードのお屋敷でクラシックしか知らなかった従順なお坊ちゃんが外からやってきた少女にロックやタバコを教えられ…といった展開の中に微妙にホラーチックで不穏な描写を混ぜ込んだ雰囲気そのものは悪くないです。


悪くないんですが、いかんせん雰囲気だけで魅力的な謎とか恐怖とかを提示出来ているわけではなく、物語として吸引力に乏しい。ただサムエルに口うるさく教育し何もかもを支配している母親の異常性だけが際立っている感じです。外へ出るなということは、文明社会は疫病で滅んだか、それともフランケンジョーズに滅ぼされたとか、もしくはロボクロコに支配されているとか、多分そんなような世紀末的な感じなのでしょう。



…とは予想していたものの、実際にああいうラストを見せられると落胆しつつも笑ってしまいます。2時間近く引っ張ってそれですか?っていう。それならそれでもっと早く出してほしかったね。アレのクオリティそのものはえらく高いだけにもったいなさすら感じます。最初からバンバン出していればなあ。最後まで伏せて置く意味は何だったんですかね。アレをオチにすることで驚く人がいると思ったんだろうか? という意味ではM・ナイト・シャマランの「ヴィレッジ」みたいだなあと思いました。むしろシャマランをリスペクトしている映画なんじゃないだろうか。なので、シャマランファンなら一見の価値はある…かもしれません。


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