「クリーチャーズ/宇宙から来た食人族」 感想 もっと肉食え

概要

原題:CREATURES

製作:2020年イギリス

発売:エクストリーム(トカナ)

監督:トニー・ジョピア

出演:ロマン・バルベイ/斎藤莉奈/クリス・キリアコウ/アンドリュー・グリーヴス


バスに乗って田舎を走っていた大学生集団が謎の宇宙生命体に遭遇する。見た目は可愛らしいその生物”マンピー”は無害のようであったが、マンピーを追ってきた小鬼のような肉食エイリアン軍団は人間にかぶりつくうえに噛んだ人間をゾンビ化させる凶悪な奴らであった。


予告編

感想





エクストリーム(旧トカナ)配給で全国ロードショーしていた英国製ホラーコメディ。

監督は宇宙ウサギが地球で大繁殖を目論む珍作「キュート・リトル・バニーズ」を撮ったお方。正直クオリティ的には本作も前作と大して変わらない印象。やたら尺が長いという悪癖も共通しています。あと20分削ってほしい。



そう考えると、本作が全国の劇場で上映されたという事実がいかに異常な現象であったかが分かります。どう見ても普通ならDVDスルーで充分な作品、というか日本以外ではそうなっているであろうと推測されます。本作に登場するエイリアンはギズモそっくりだし、本来であれば「グレムリン2022~珍種爆誕~」みたいな邦題でアメイジングDCあたりからDVDが出ていたのではないでしょうか。



残念なことに私はタイミングが合わず劇場で鑑賞は出来なかったのですが、何も知らずにスクリーンでこれを目撃した人は結構驚いたのではないかと思います。ちなみに過去のトカナさんの配給作を思い返してみると、



「ハングリー湖畔の謝肉祭」

「食人雪男」

「人肉村」

「KKKをぶっ飛ばせ!」



となぜかカニバリズムや人肉を喰らうモンスターが出てくる映画ばかりです。トカナさんは人肉最優先で公開する作品を買い付けているとしか思えません。となると「食人族」の名を冠する本作にも濃厚な人肉モグモグ描写が期待されるわけですが、意外にもそこはかなり控えめ。



ギズモ似の善玉エイリアンを捕らえに来たゴブリンみたいな悪玉エイリアンたちが、食事ではなくあくまで攻撃として人肉を食いちぎってはくれます。スプラッターとしては充分なグロ描写です。宇宙船に乗って地球にやって来れるほど高度な文明人のくせに主な攻撃手段が「噛み付き」のみっていうのはいかがなものか?などと突っ込んではいけません。そんなこと言ったらプレデターだってとてもじゃないけど文明人には見えませんからね。我々が残念がるべきなのはエイリアンの目的が人肉食ではなかったということであり、悪いのはこんな邦題であらぬ期待を煽ったトカナさんの方なのです。



ところで本作には斎藤莉奈さんという日本人の方が主役級で出演されているのですが、公式HPによると噂では1000人規模のオーディションで大役を勝ち取り」と記載されています。ツッコんだら負けのような気がするので何も言いませんが、このような悪ノリおふざけ映画においても真剣な演技を魅せる彼女のプロ根性は大変素晴らしいなと思いました。

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