「ハングリー 湖畔の謝肉祭」 感想 これが劇場で目撃できるという奇跡

概要

原題:CANNIBAL CABIN

製作:2021年イギリス

配給:トカナ

監督:ルイーザ・ウォーレン

出演:ジョディ・ハットン/リチャード・サマーズ・カルバート/リース・プティナス/ハービー・アーモンド


2002年、イギリスの片田舎のアクアパークに遊びに来た若者グループが人喰い一家に襲われ、喰われてしまう。20年後、また別の若者グループがなんかのイベントに参加するためその近くを通りがかった。道に迷った彼らは、明かりを探してさまよううちに人喰い一家と出くわしてしまう。


予告編

感想




あのルイーザ・ウォーレン監督の最新作が、あろうことか全国ロードショーされてしまうという…。

あの超本格的重量級Z級映画「サイバーブライド」の監督ですよ。

それを全国津々浦々の劇場のスクリーンに映す?


これは危ない…

とてつもなく危ない臭いがする…


北海道だけでも4つも上映館があるなんてまずもって正気の沙汰ではない。間違って一般人が観ちまったらどうなるんだ。

日本映画界史上稀に見る異常事態に一人で勝手に震撼していたわけですが、例によってこんな途方もない蛮勇を奮う配給会社はトカナさんでした。その公式HPがまた凄い。



「腹減った。奴らを喰おう!」

「空腹は生肉で満たせ!」

「これが”生肉踊り食い地獄”

「イギリスで起こった衝撃の実話!」


「英国ホラー界注目の新鋭女性監督ルイーザ・ウォーレン(中略)の完成したばかりの最新作で日本での劇場公開が世界先行プレミア上映となる



な…なんだ!?

このデタラメ極まりない宣伝は!?


世界先行プレミア上映も何もこんなもんわざわざ劇場上映してるのなんて日本だけなんじゃないのか!?よその国はビデオスルーなだけでしょ? しかも先行までしてんの?プレミアってもう何??

実話とか誰が信じるのよ…



私は歴史の目撃者となるべく劇場へと赴きました。鑑賞料金1900円・駐車料金620円・地下鉄代500円・コーラ代300円としめて3320円もの金をかけてまで…。


劇場内には一騎当千の好事家であろうオッサンどもがひしめいていました。が、そんな死臭漂う戦場に明らかに場違いな若い女の子たちもキャピキャピ入って来るではないですか!!なんという惨劇の予兆。歴戦のクソ映画ハンターでも五体満足で帰れるかどうかも分からぬような魔境へ丸腰で入って来ている…!それもこれも全部トカナさんのせいですよ。




…で、内容についてですが。


これが意外にも「サイバーブライド」よりは遥かに真っ当な出来栄えにはなってたんですよね。

逆に「サイバーブライド」は本当に一体何だったんだよと問い詰めたくなるほど真っ当だった。いや、私があれと同じクオリティを想定してハードルを地中深く埋めてから鑑賞に臨んだために案外マトモに視えてしまったのかもしれませんが。



何にせよ、まんま「テキサス・チェーンソービギニング」「クライモリ」あたりのパクリというかエピゴーネンというかまあそんな感じです。明らかにC級ビデオスルークラスだろと突っ込みたくなる安い映像ではありますが、観るに堪えないというほどではない。どっかで見たような展開ばかりでオリジナリティはほとんどなく、なんでこんなものが劇場のスクリーンに映っているのだ??という疑問が胸に去来しますが、少なくとも”生肉踊り食い地獄”がウソではない程度には悪趣味なゴアシーンが充実しており、この手の田舎ホラーが好きならば楽しめる部分も充分あります。



まあ、一般の映画ファンが劇場で観る価値があるか?って訊かれたら、


ねーよ!


と即答せざるを得ませんが、我々地方民にとっては劇場でこのクオリティの映画を拝める機会そのものが滅多にございませんので、時にはそういうレアな体験をしてみるのも一興ではないでしょうかとだけ言っておきます。

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