「アイス・ロード」 感想 氷の上を走るだけであってほしかったが

概要

原題:THE ICE ROAD

製作:2021年アメリカ

配給:ギャガ

監督:ジョナサン・ヘンズリー

出演:リーアム・ニーソン/ローレンス・フィッシュバーン/ベンジャミン・ウォーカー/アンバー・ミッドサンダー


北の鉱山で爆発事故が発生し、26名の作業員が生き埋めになった。彼らを救出するためには非常に重量のある装置をトラックに積み、凍った湖の道”アイス・ロード”を走って届けなければならない。退役軍人で失語症を患った弟を世話しながら働くマイクは新しいトラックを買う金を得るため、その危険な任務に参加するが…


予告編


感想





リーアム・ニーソンの新作アクション映画。サツゲキで「ドーン・オブ・ザ・ビースト 魔獣の森」と同じ日に連続鑑賞。どうでもいいけど平日の朝からサツゲキのロビーがけっこう混雑していたので、てっきりみんなこの映画を観に来たのだな…さすがリーアム・ニーソン大人気だな~…とか思っていたら私の他に1人しかいない貸し切り状態で何だか寂しい気持ちになりました。みんな一体何を観に来ていたんだい?



内容は、極寒地の鉱山事故で閉じ込められた作業員を救出するため、超重量の装置を乗せたトラックで凍った湖の道アイス・ロードを爆走するという話。うっかりすると氷が割れ、冷たい水の底に沈む危険と隣り合わせ。これはかなり「恐怖の報酬」っぽい設定ですが、私はサメ映画やクソ映画ばかり追い求めてろくすっぽ名作映画を押さえていないジャンキーなので当然「恐怖の報酬」も未見です。アマプラにあったので観ようかと思ったけど2時間半もあるので諦めました。



リーアム・ニーソン演じるマイクは、退役軍人で失語症を患う弟の世話をしながら転職を繰り返しているトラック野郎。どこの会社でもすぐ弟がイジメられてケンカになるので一つの職場で長続きしない。新車のトラックが自前で買えればなあ…と夢想しているところに高額な報酬が提示され、その危険なミッションへ挑むことに。



ただ、高額な報酬とは言ったもののたった20万ドルを3組で山分けなんですよね。命を懸けた危険な任務の報酬としては安すぎないか?と思いました。…が、後で考えたら妥当な線だったかもしれません。



というのも本作、てっきり湖上の氷や吹雪などをメインとした過酷な自然の脅威のみを相手にスリルを演出していくタイプの映画かと思ったらそれは前半のみで、後半からは普通に悪党どもがガンガン襲ってきてドンパチしまくる普通のアクション映画になっていたからです。正直これはかなりの肩透かし。



湖上の氷が割れないように早すぎず遅すぎずのスピードを維持して走らなければならない。停まれば危険、もし割れて落ちれば決して助からない。今まで見たことがない斬新なシチュエーション。それでもトラックに予期せぬトラブルが発生し…という展開の前半部は名作の予感がしてくるほどの緊張感と恐怖があり、その中でプロフェッショナルなムードを漂わせたトラックドライバーたちのやり取りも非常にかっこよかった。



だからね…中盤からいかにも分かりやすい悪党が襲撃してきた時はガッカリしましたよ。結局トラックでカーチェイスするだけの普通のアクション映画の範疇に収めてしまうんか…と。悪党側の事情や背後関係は特に深掘りせずただの紋切り型だったのでよけいそう思いました。



そしてあれだけ悪党が卑劣な横やりをビシバシ入れてくるのに任務が遂行不能に陥らなかったということは、あの悪党どもがいなければ別にそんなに難しい任務ではなかったということにもなってしまう。となると、20万ドルは別に安くないどころかむしろ結構気前が良かった方では?最初にローレンス・フィッシュバーンが渋っていたのは万一のことを警戒していただけ?と少しだけ残念な気持ちに。



とはいえ弟との絆はかなりグッとくる描写で魅せてくれたし、いつものリーアムドンパチ映画の水準は軽くクリアしているので、前半90点の後半60点と考えればトータルでは75点ぐらいのそこそこ面白いアクション映画だったと言えます。少なくとも今年7月に公開された「ファイナル・プラン」よりは断然イケてるのでリーアム・ニーソンファンはぜひ劇場で鑑賞してほしいかなと思います。

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