「メガ・クロコダイル」 感想 ワニ以外のモンスターが個性的すぎる

概要

原題:巨鰐/Mega Crocodile

製作:2019年中国

発売:ハーク

監督:フー・グイ

出演:リ・グアンピン/グオ・シーウェン/チェン・リンショ/グアン・シェンユン


東南アジアの海に浮かぶ通称「地獄島」はイリエワニが数千匹も生息している過酷な無人島だった。そこで遭難した大企業のお坊ちゃんを助けるため、姉のコン・ミンジュはワニの専門家であるルオ・ハンたちを雇い地獄島へ乗り込む。だが、そこにいたのは普通のワニだけではなかった。


予告編

感想





中国産のワニ・パニック映画。

中国人も相当ワニ好きな民族ですなあ。食べておいしい、見ても楽しい万能愛され爬虫類ワニ。それはいいけど、ここ最近の中国のモンスターパニック映画はなぜいつも無人島で行方不明になった人を探しに行くパターンばかりなんでしょうか。本土を舞台にしてはいけないというルールでもできたのかな。



クオリティは毎度ながらそんなに高くありません。腕を食いちぎられた人は服の中に腕を隠しているのが丸わかりだし、足を食いちぎられても中国共産党の厳しい規制でボカシがかかっており、よく見せてもらえない。ワニのCGが時々ポロニアレベルで雑になる瞬間もある。色々とツッコミどころ満載です。



ただ、地獄島にいるのはワニだけではなく、吸血ヒル軍団や人喰いラフレシアなど意外と気色悪いモンスターがモリモリ出てきます。これは素晴らしい。吸血ヒルはしっかり人の体内に潜り込もうと喰らいついてくる。それを追い払うために火を使うんですが、主人公ハンが口から盛大に火を噴いて仲間を炙る絵面が最高にアホっぽくて楽しい。ライターの火に酒を吹きかけただけであんな火炎放射器並みに激しい炎を出せるのか。出せたとしてもヒルを追い払う以前に炙られた方は焼け死ぬのではないか。



しかし吸血ヒルなど序の口。次に現れる人喰いラフレシアはもっとイカしてます。ラフレシアというかパックンフラワーにしか見えませんが。デカいお口に無数の鋭いキバを持ち、カメレオンのようにベロを素早く伸ばして人間を捕食しようとしてきます。これは明らかに未知のスーパーモンスターですが、ハンは


「ラフレシアだ。別名人喰い花。獲物を捕る手段さ」


などと、さもジャングルならどこでもいるありふれた植物であるかのような口ぶりで説明してくれます。それとも私が知らないだけで、中国のジャングルでは普通に中国人をむさぼり喰らいながら自生しているお花なのか。



さらに、後半ではもっとおぞましいモンスターが現れます。それは人の口から入り込み、人の声を真似て人を騙すゾウムシ。なんとゾウムシとは…モンパニ映画としても恐ろしくマニアックなチョイスで驚きました。ゾウムシが人を襲う映画など本作が初めてでしょう。

しかも人の声を真似するってどういうこと?

人を騙すほどの知能があるの?

そもそもゾウムシって鳴き声とか出せるの?

…と疑問は尽きません。まあ何にせよ、珍しいものを見せてもらいました。映画の出来云々よりこのレアモノ感がうれしい。



しかし、その後の巨大ワニとの戦いはまあいつもの中国映画って感じで可もなく不可もなく。いかんせん中盤までで面白いモンスターを連発しすぎてしまいました。いくらワニ好きとはいえ、今さらただデカいだけのワニに暴れられてもちょっとインパクトに欠けるよなあ…。サメが色々やってるようにワニもそろそろ作品ごとに何かしらの特色を出してみてほしいところです。

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