「ワールドエンド・サーガ」 感想 ゾンビは鍵をかけない

概要

原題:Ever After
製作:2018年ドイツ
発売:アルバトロス
監督:カロリーナ・ヘルスゴード
出演:グロ・スワンティエ・コールホーフ/マジャ・レーラー/トリーヌ・ディルホム/山下結穂

謎のゾンビウイルスが蔓延し、世界はイエナとワイマールの2つの都市を除いて壊滅した。イエナでは治療法の開発が進められ、ワイマールでは厳しい掟によってゾンビからコミュニティを守っていた。ビビはそんなワイマールの掟に嫌気が差し、ゾンビに腹をひっかかれたエバと共にイエナを目指す。

予告編



感想






ドイツ製のゾンビ映画。
ドイツホラーといえば過激なスプラッターと病んでるムードが欠かせまんが、本作は全然大したグロはありません。
主演の人の名前が「グロ」なのにグロがない。これはおかしいのではないか。しかも、ゾンビ映画だけどゾンビの出番は極めて少ない。これも著しくおかしいのではないか。クレームをつけたい気持ちでいっぱいです。



では何なのかというと、病んでる女の子二人の内面を詩的に描いたロードムービーといった趣きです。ストーリー性とエンタメ感に欠けてて芸術映画寄りの作風。病んでることは病んでるが、ドイツ映画的な病み方ではない。主人公ビビは妹を見捨てて死なせてしまったことがトラウマであり、本作はそれを克服するまでの話です。多分。

ゾンチュー」や「トランジット17」など、ゾンビ映画の体をとってはいるが実際に描きたいテーマはゾンビと何ら関係がない。そんなエセゾンビ映画の蔓延は私の危惧するところです。ゾンビ映画は過激なゴア描写を盛り込んでナンボの世界のはず。誰もゾンビに高尚な芸術映画など求めてはいないはずなんです。

しかるに、このセンシティブかつナイーブな少女の心理描写に終始するこの体たらく…。ジャーマンスピリットをどこに捨ててきたのかと非難せざるを得ない。毎度引き合いに出して何ですが、ドイツ人ならばやはりオラフ・イッテンバッハの「新ゾンビ」を100回見てから出直してほしい。監督も女性だから仕方ない?まあそうかもしれません。


ただ、ゾンビの出番は少ないもののかなりインパクトのあるゾンビが出てきたことだけは称賛に値します。ドレス姿で肩にキジバトを乗せ、顔から植物を生やして襲ってくるゾンビがそれです。今まで結構な数のゾンビ映画を見てきましたが、あそこまで個性的なゾンビは見たことがない。植物を生やすのは「クズ・ゾンビ」(葛ゾンビ)という前例がありましたが、肩にキジバトは空前絶後なのではないか。本作のゾンビは鳥にやさしいのかと思いきや後半ではハトを喰らうゾンビも出てくるのでそういうわけでもない。ゾンビ化する前に飼ってたペットのキジバトってことなんでしょうか? 彼女は単なる雑魚ゾンビの1体に過ぎないのでこの映画的にはどうでもいいポイントなのかもしれませんが、無性に気になります。

ということで、まあ見どころがなくもないが、ゾンビ映画としては全然面白くない感じでした。少女の精神世界がテーマの芸術映画が好きな人ならいけるかもしれません。










↑これがイッテンバッハの「新ゾンビ」
イカレ具合が半端ないので正常な神経をお持ちの方には絶対オススメできませんが、真のジャーマンスピリットを感じたいのであればコイツを見るべき。







20/6/11追記





↑映画ブロガーのソレガシさんから、本作と「アンシンカブル 襲来」のジャケットデザインが酷似しているとの情報を頂きました。
私もこれはすごく既視感のあるジャケットだなあと感じてはいたんですが、具体的にどれなのかは全く思い出せなかったんですよね。私のジャケット鑑定眼もまだまだですね。
アルバトロスについてはパクリ乙と言いたいところですが、実際のところ「アンシンカブル」もアルバトロス配給なので正確には単なる使い回しか。そのまんまじゃなくて一応それなりに加工はしているようですが、このやっつけ仕事ぶりはさすがアルバトロスと感心するほかありません。

コメント

  1. 本編とは無関係な話ですが…これと『アンシンカブル 襲来』という映画のジャケと見比べると面白いですよ。アルバトロスが所有している(?)CGのテンプレなど、裏事情が垣間見えます。

    返信削除
    返信
    1. 情報提供ありがとうございます!
      さっそく記事本文にその旨追記いたしました。
      ところで、ソレガシさんもブログ更新を再開されたようですね。
      某羊映画もバッチリ鑑賞されてるようなので、感想記事に期待を膨らませておきます。

      削除

コメントを投稿