Z級映画によくあること




今日はZ級映画について本格的に語りたい気分になったので、何となくZ級映画あるあるを書き連ねてみました。



しかしまずその前に、そもそも映画のランクとはどのように区分されているのでしょうか?
世間や業界がどう考えているのか正確なところは分かりませんが、私の中ではこうなっています。


A級…潤沢な製作費がかけられた大作(3億円以上)
B級…あまりお金がかかっていない小品(1千万~3億)
C級…貧乏くさい超低予算ビデオスルー作品(1千万以下)
Z級…素人のホームビデオ的映像(0~100万?)


多分この定義は世間とそんなにズレてもいないでしょう。
金額は適当ですが。



しかし大抵の人は私よりも厳しい目を持っているので「それはどう見てもA級だろ?」みたいな作品でもB級だB級だと騒がれることはよくある(例:「ドリームキャッチャー」など)し、明らかにホームビデオよりはましな映像に対しても「これはZ級!」と安易に最下層のレッテルを貼ったりしています(例:「アタック・オブ・ザ・キラートマト」「シャークネード」など)


だが、真のZ級とはこういうものである。
ということについて、今日はちょっと述べておきます。


・尺が70分前後である

Z級映画でむやみに長い作品というのはなかなか見当たりません。かといってさすがに60分を切ることもない。結果、そのほとんどが70~80分程度にまとまって(?)います。
仮に本編がもっと短くても、必ずエンドクレジットを引き延ばして強引に70分台にはしている。

B~C級の場合は80~100分のレンジであることが多いです。なので、アマプラ等で尺が70分台しかないような映画を見つけたとしても、それはかなり高い確率でZ級なので軽々しくクリックしてはいけないかもしれません。



・安いデジカメかスマホで撮ってる

私も素人なので映像から機材を読み取れるほどの知見はありません。が、それでもこうだと確信できるぐらい映像がショボイ。撮影監督や照明係などという高級なスタッフも一切存在せず、一人でスマホかデジカメで撮影しているのが丸分かり。
それが真のZ級たる証です。

逆に言うと、Z級を知ることによって、普段何気なく流し見ているA~B級映画の1カット1カットがいかに手間暇かけられたリッチな映像であるかがものすごくよく分かるようになります。例えば寿司だって単に魚を切ってコメの上に乗せているだけではありません。それと同じようなものです。


・音声直撮り

これもZ級の世界に触れるまで気にしたこともなかったんですが、世のA~B級映画の大半がアフレコなんだそうです。まあ現場で音声そのまま撮ってたら雑音入りそうだし、吹き替えやら何やらで音声トラックを切り離す必要があるでしょうからね。

しかしZ級がそんな面倒なことをしているはずもなく、かつ音響係がいるはずもないので、音声はスマホかデジカメでそのまま直撮り。これがものすごく貧弱で不自然に聞こえてしまう。
実はこれが一番Z級をホームビデオっぽく感じさせる要素だったりします。



・出演者が数人しかいない、出演者がみんな素人、エンドクレジットで出演者全員を紹介


Z級映画の場合、そのほとんどが自主製作映画です。
というか、ちゃんとした製作会社やスポンサーのついている商業映画であからさまなZ級はちょっと記憶にない。

Z級にはまともな役者を雇う金などないのは当然のこととして、出演者は製作者の家族や友人で固められているのが普通です。なので無償で出演してくれる優しい身内が少なかった場合は当然ごく少人数しか画面に映らないし、たとえチョイ役でもエンドクレジットでは一人残らず懇切丁寧に紹介されるんです。最上級の感謝を込めてね。

このエンドクレジットはZ級映画を確実に見分けることのできる非常に有用な手段と言えます。
まあそこまで観てから分かっても遅すぎるんですけどね。

ちなみに「アタック・オブ・ザ・キラートマト」はエキストラが大勢出てくる時点でZ級ではないと考えております。スペクタクルなヘリ墜落シーンもありますしね。



・話が複雑怪奇かつ電波的で理解不能か、逆にものすごく薄いかの二択


Z級映画においては大抵の場合製作・監督・脚本を同一人物が担当しています。で、手が回らないのか才能の問題か分かりませんが、何かとおざなりにされがちなのはやはり脚本です。大概、起承転結のどれかが欠けているものです。
例えば「アメリカン・ビッグフット」には「結」がありませんでした。
下手すると「転」も無かった気がする。

それだけでなく会話や設定が異常に支離滅裂であったり、または会話自体がほとんどなく主役が一人でブラブラ徘徊しているだけ等、極端な内容であることも非常に多い。前者の例はドクターブラック 殺しのバイブル「アストロ」であり、後者の例はドールズ 異質な同居人アダム 潜む男あたりです。



・夜のシーンはフィルターで済ます


これもZ級映画の世界に触れるまでは気にしたこともありませんでしたが、夜のシーンって撮影するのにけっこう技術が要るみたいなんですね。照明係もいないようなZ級映画の場合、昼間の映像に変なフィルターをかけただけで夜だと言い張っていることが多々あります。

しかし画面の陰影も無く一律で暗くなってるだけなので、観ていて異常に不自然なことこの上ない。夜間フィルターがどんなものか気になる人は、「獣人プレデター」「ジュラシック・サバイブ」「ファング 怒りのモンスター」などをご覧ください。



・CGというより合成

Z級ともなると、当然ながらCGなどという高級な文明の利器はそうそう使えません。なのでCGのサメが出てくる「ジュラシック・シャーク」はいかにヒドかろうがZ級ではないとする意見もあります。サメで言えば「フランケンジョーズ」「ロストジョーズ」のように模型を合成するか、またはコマンドーシャーク「ハウスシャーク」のようにハリボテを手作りしてこそ真のZ級魂が込められていると言えるのです。



・動画配信の隆盛によりZ級を超える超Z級が出現


数年前まではレンタルショップでしか出会う機会のなかったZ級映画ですが、近年の動画配信サイトの目覚ましい躍進により新しい侵入ルートが開拓され、不法入国してくるZ級がこれでもかと激増しました。うれしいけどつらい。おかげでこんな記事を書いてしまうほどZ級映画に精通することに。

その結果、一口に同じZ級クラスと言ってもその中でさらに細分化したくなるほど品質にばらつきがあると分かってきました。中でも、最下層に位置するであろう超エリートZ級映画のクオリティが凄まじい。まるでZ級同士で喰い争わせ、蠱毒を作り上げたかのような危険な呪物的映像としか言いようがない。いくら好事家を自称する私でもこんな世界はさすがに知りたくなかった。

例を挙げると、デンジャラス・ゲーム 危険な復讐」「ドールズ 異質な同居人」「ヘルゲート 地獄の門」「リベンジ・プランあたりです。こいつらはほんと異常。
なんせ「ヘルゲート」以外は途中でノックアウトされてしまいましたからね。

この辺はもう普通のZ級からは一線を画す存在として敬意を込めて
「ZZ(ダブルゼット)級映画」
と呼称したいと思います。



さらに、万一これらより凄いものが出てきた時は
「ZZZ(トリプルゼット)級映画」
の称号を与えるものとします。
あまりそこまでは想定したくないけど。

コメント

匿名 さんのコメント…
「アメリカン・ビッグフット」
仕事にあぶれたブルーカラーがなんとなく子猿を殺ってしまい、
無関係な人々を相手に親が暴れるという、非常に傍迷惑な話ですね
誰が主役だったのかすらもよく分からない終わり方
岩石入道 さんの投稿…
>2023年12月28日 10:32の匿名さん

「アメリカン・ビッグフット」はまあ…年に数本レベルのゴミ映画でしたね。