「ラスト・パニッシャー」 感想 どこを切ってもニコラス・ケイジ

概要

原題:A Score to Settle
製作:2019年アメリカ・カナダ
発売:クロックワークス
監督:ショーン・クー
出演:ニコラス・ケイジ/ノア・ル・グロ/ベンジャミン・ブラット/カロリーナ・ヴィドラ

ボスの罪を被り、19年間服役していた元ギャングのフランク。彼にはシャバに残してきた、たった一人の息子がいた。隠しておいた金で、19年ぶりに再会した息子に贅沢をさせてやり楽しい日々を過ごすフランク。しかし、彼にはもう一つの目的があった。それは自分を陥れた、かつてのギャング仲間たちへの復讐だった。致死性の不眠症を患うフランクは夜な夜な徘徊をしてターゲットを探す。

予告編




感想


ここんところ「落ちぶれてくたびれ果てたどうしようもないオッサン」役ばっかりやっているような気がするニコラス・ケイジの新作。

本作は特にその傾向が強く、どのシーンを見てもとにかく落ちぶれてくたびれ果てたどうしようもないニコラス・ケイジがひたすら画面を占有しているので、落ちぶれてくたびれ果てたどうしようもないニコラス・ケイジも嫌いじゃないよという私のような人はそこそこ楽しめるはずです。





ただ、それを除けば本作はまるで任侠もののVシネマのように見えてしまうでしょう。あくまでも落ちぶれて(中略)ニコラス・ケイジそのものを楽しむためだけの映画なのです。本作のニコケイは不眠症という設定ですが、生気の無い目で節々がイテエとボヤきながら苦しそうに夜な夜な徘徊を繰り返す彼を見ていると、何だか演技なのか素なのか分からなくなってきます。いや、これはもう限りなく素に近いのではないか。このダメっぷりがたまらないんですね。

でもそんなどうしようもない老いぼれでも、時たま妙な凄味を見せることもある。俺も若い頃は超一流だったんだぞ、と。私も「ザ・ロック」や「コン・エアー」は何回観たか分かりません。ただのくたびれ果てたオッサンでは終われないのです。やる時はやる。チンピラを脅した時の「エェ~クセレント」には笑わせて頂きました。すごくキレてる。





内容的には、宣伝しているようなドンパチアクション要素は当然のようにほぼ皆無で、どちらかと言えばシミジミとしたヒューマンドラマといった趣き。19年もムショに食らい込まれたせいで息子を放置してしまったことを負い目に感じているニコケイが、その埋め合わせをしようとダメ親父なりにあれこれ頑張る話です。

その裏で元仲間への復讐の念を燃やしてみるものの、相手もジジイばっかりなのでお互い大したアクションは出来ない。19年は確かに長いけど、そこまで老け込むか?と突っ込みたくはなります。ニコケイも一応まだ56歳ですしね。

また、終盤でちょっとした仕掛けが施されています。が、これは予想の範疇内。手垢まみれのネタなのでサプライズ感は薄いけど、お涙頂戴としてはそれなりに効果的に働いていたかなと思います。















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