「テラー・ハウス 堕天使が棲む館」 感想(ネタバレ) 真面目なのかふざけているのかわからん謎ホラー

概要

原題:The Last House on Cemetery Lane
製作:2015年イギリス
発売:Amazonプライムビデオ
監督:アンドリュー・ジョーンズ
出演:リー・ベイン/ジョージナ・ブラックレッジ/テッサ・ウッド

ホラー映画脚本家のジョンは、ロンドンでの生活に嫌気が差し、西ウェールズの田舎町へやってきた。8週間の予定で古い邸宅を借りたが、いざ住もうとすると実は3階に盲目の老婆が棲んでいるという事実を後出しで知らされる。「何の害もないから」という大家の言葉を信じてそこに住み始めたジョンを、謎の怪奇現象が襲う。

予告編




感想

幽霊屋敷にやってきたホラー映画脚本家が心霊現象に悩まされるが、原因は過去にその家で殺された少女の遺体が壁に隠されたままだったから。


っていう、めちゃくちゃありがちな心霊ホラー。いきなりネタバレしたけど別にいいですよね。ものすごく低予算ですがイギリス製なので大変お上品でクラシカルなムードが漂っています。登場人物が敬虔なカトリック信徒なので堕天使云々も信心深い人なら何か感じ入るものがあるのかもしれませんが、そうでない人にとってはただの念仏にしか聞こえないし別に何も怖くもありません。




それだけだと凡庸な感じがしますが、しかしこれはなかなかの珍作と言えます。

まずそれはおかしいだろと突っ込まざるを得ないのが、8週間の短期とはいえ賃貸契約を結んで入居しようとしているホラー脚本家のジョンに対し、後出しで「実は屋根裏に盲目の婆さんが住んでますから」などとのたまう大家さん。いくら「迷惑はかけないから!無害だから!」とか言われても、嫌だろ! 無害とかそういう問題じゃないよ。屋根裏には台所もトイレも風呂もないわけですし。共用ってか下手したら介護までさせられそう。これがアメリカだったら確実に訴訟案件ですが、ジョンは「チッ…しゃーねーな…」ぐらいのノリで住み始めてしまいます。何という心の広さ。さすが英国紳士です。

そして、近所で出会ったキャシーという女性といきなり恋仲になる英国紳士。お互いに一目ぼれだったんでしょうか?ってぐらい展開が速すぎてついていけません。


心霊現象云々はまあどうでもいいので置いといて、実は大家さんが屋根裏の老女の娘で、かつサイコキラーであると判明します。何のために色んなリスクを冒してまで家を貸してんだ。しかも長年世話して養っていたであろう母親を殺害してしまいます。何で今なの。敬虔なカトリック信徒なら分かるのかもしれませんが、私には全く理解できない展開です。


母親を葬ったサイコキラー大家さんは、続けてジョンも始末しようと斧を持って追ってきます。
ただの心霊ホラーかと思いきや急に別ジャンル。これまた予想外の展開。


しかしサイコキラー大家さんは身体能力的にはただの中年女性なのでめちゃくちゃ弱そうです。そんなのに追われて必死で逃げるジョンの情けなさと言ったら、英国紳士失格と言わざるを得ない。それでも何とか返り討ちにするのはいいが、明らかに過剰防衛です。あんなおばさん、もっと簡単に取り押さえられるだろ…


しかも、一度は倒したはずのサイコキラー大家さんがジョンの背後でムクッと起き上がり、ヒタヒタと迫って来るシーンが「ハロウィン(1978年版)」とそっくり。音楽もほぼそのまんま。唐突なモロパクリにさすがの私も唖然としました。いやまあパクリというよりパロディのつもりかもしれませんが、一応シリアスなムードの映画なのに何でいきなり誰でも分かる模倣シーンを不自然にねじ込んでくるのか。もしかして鏡に「MURDER」とか血文字が付いてたのも「シャイニング」のパロディだったんでしょうか。


あとねえ…主人公がホラー映画脚本家ってついこないだもそんなC級映画を観ましたが、本作はその設定がさらに無意味だったと言わざるを得ない。それとも、この映画そのものがジョンの脚本だから有名ホラーのパロディがちりばめてありますよっていう仕掛けのつもりなのかな。だから何なんだとしか言いようがありませんが。





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ダーク・デスティニー魔女の谷
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