「ウルフマン」 感想 地味そうに見えてやっぱり地味

概要

原題:Wolf Man

製作:2024年アメリカ

配信:ユニバーサル・ピクチャーズ

監督:リー・ワネル

出演:クリストファー・アボット/ジュリア・ガーナー/マチルダ・ファース


都会で妻子と暮らしていたブレイクは、ある日失踪していた父の死亡通知を受け取る。遺品整理を兼ねながら休暇を過ごすため、ブレイクたちはオレゴンの実家へと向かった。だがその途中、謎の生物に襲撃され…


予告編

感想



ユニバーサルのクラシックモンスターを現代的にリブートしたホラー映画。今月からひっそりとレンタル開始。どうでもいいけどタイトルで検索しても万年フンドシ野郎ばかり出てきて困る。

U-NEXT399ポイント鑑賞。



「ファイナル・デッドブラッド」「ミーガン2.0」が劇場公開するのしないのとあれだけ話題になってる中、本作についてはDVD/配信スルーになっても一切誰も気にしていなかったというね。別にどうでもいい作品だと思われているのか? やっぱり狼男なんてあまりにも古臭すぎて今どきウケるわけがないと考えられます。昔ながらのあっさり醤油ラーメンを今食べても大して美味くないのと一緒です。



私だってドラキュラだのフランケンシュタインだのといったカビ臭いクラシックモンスター系はあんまり観る気がしないですよ。私が最後に観た狼男映画はたぶんニール・マーシャルの「ドッグ・ソルジャー」ですね。あれは狼男と軍人がボクシングで戦うファンキーなノリで結構良かった。画面が暗くてほとんど見えてませんでしたがね。



しかし本作はあの天才リー・ワネル監督の仕事。同じく古臭いと思われた「透明人間」リブート版も彼の手にかかれば驚くべき傑作と化しました。となると、やはり見逃すわけにもいかない。



…のですが、これは確かに話題にならないだけあって途方もなく地味な作品でした。決して悪い出来ではないものの、あまりにもクソ真面目で辛気臭くてミニマムな作り。ストーリーはひたすら悲しいだけで盛り上がりがない。音はかなり良さげだったので劇場で公開されれば観に行く価値はあったとは思いますがね。ウルフマン化してクモの足音が大きく聴こえるシーンなどは良かった。



威圧的な父親に育てられた男ブレイクがウルフマンに変貌し、自我の喪失に苦しみながら妻子を脅かす存在と化していく。身も心も痛々しく変化していくブレイクの悲哀は視覚的表現も工夫されていて面白いし、妻子視線になればモンスターパニックとしても楽しめる。悪くはないんです。



ただブレイク以外のウルフマンは1、2体しか出てこないし、劇中で殺されるのもたったひとりだけ。脂ギトギトの刺激的なホラー映画に慣れ切った体にとってはいくら何でも物足りない。ウルフマンVSウルフマンのシーンはちょっとだけ盛り上がったけど、それも足りない。さすがに登場人物が少なすぎたのではないか。何をそんなに節制しているのか。無駄を削ぎ落せばカッコイイという玄人的志向が悪く出たように感じます。帰省したブレイクたちを出迎える地元民がひとりだけ出てきましたが、あれを数人のグループにしてウルフマンの生贄にしておけば良かったのになあ…と思いました。




「ウルフマン」(Amazon blu-ray)


コメント