「ファイナル・デッドブラッド」 感想 死ぬまでを楽しめ

概要

原題:Final Destination Bloodlines

製作:2025年アメリカ

配給:ワーナー

監督:アダム・スタイン&ザック・リポフスキー

出演:ケイトリン・サンタ・フアナ/テオ・ブリオネス/リチャード・ハーモン/オーウェン・パトリック・ジョイナー/アンナ・ロア、ブレック・バッシンジャー/トニー・トッド


50年前、大量の死者が出るスカイラウンジ崩壊事故を予知能力で未然に防いだアイリス。だが、死の運命は彼女らを見逃してはいなかった。生存者だけでなく、本来生まれるはずのなかったアイリスの子孫たちまでもが死神に付け狙われる。


予告編


感想



アメリカで3億ドル超の特大爆裂ヒットを放っておきながら、日本では配信スルーというあり得ない事態に陥りかけたホラー映画。さすがにワーナーさんもそれはいけないと思い直してくれたのか、急遽全国で10館だけ上映してくれることになりました。その中に札幌が入ってて良かった。



本作はシリーズ6作目ですが、私は初代の「ファイナル・デスティネーション」と2作目の「デッドコースター」までしか観てなかったりします。予知で回避したはずの死の運命そのものが襲ってくるという初代のコンセプトには当時感動したものの、2作目でこのネタはもう充分かなと思った記憶。そんなわけでさほど熱心なファンとは言えないものの、マンネリを打破したシリーズ最高傑作と言われては観に行くしかない。



それで観た感想としては、これは確かにあの特大爆裂ヒットも納得の超絶傑作と言わざるを得ない。今年のホラー映画界では「サブスタンス」と覇権を争うレベルではないか。ネタとしては旧作と大体同じながらも、狙われるのが「生まれるはずのなかった一族」というひねりに新鮮味があり、確かにマンネリを感じさせない出来。



なにより、冒頭で描かれるスカイラウンジ崩壊事故の圧倒的にスペクタクルなディザスターパニックぶりで大興奮。目も眩む高所でガラスが割れる!落ちる!燃える!大爆発!傾く!死にまくる!明らかにホラー映画の域を超えてる圧巻のクオリティです。



なんせそれ以上の見せ場は以後存在しませんからね…。本作の惜しいところを挙げるとすればその一点ですね。クライマックスはもっとスゴイのが来るのかと期待しちゃってた。さすがに無理だったか。あと、これは絶対に劇場で体感するべき映像なのでもっと大々的に公開してほしかったなと心底思いました。配信で軽く消費してしまうのはもったいない。



公開が絞られた一因と思われるレーティングがR18+ってことでそれなりにゴアゴアしいんですが、陰惨さは全く無く毎度ながら笑える作り。クソガキにピアノとか、ゴミ収集車にナイスインとか、鼻ピアスチェーン炎上ダンスはニコニコになりました。あの鼻ピアス兄ちゃんのキャラは良かった。「悲しい時用」のテーマとかもうね。アメリカではさぞかし大爆笑が巻き起こっていたことでしょう。札幌市民はマナー良いので静かなもんでしたけど。



そんな感じで人の死をコミカルに消費するだけの不謹慎見世物シリーズにすぎないと思いきや、ストレートにテーマを語る痩せ細ったトニー・トッドの凄味が深い印象を残します。なんせ本当にこれが遺作だから説得力が違う。死から逃れる方法なんて存在しない。人はいつ死ぬのか分からないのだから、それまでの時間を全力で楽しむべきなんだ。



…だから、芝刈り機に頭を刈られるおじさんを観て笑っても良いし、落下したピアノに潰されるクソガキを観て大笑いしても良いんだ。だからこんな素晴らしいホラー映画は全国津々浦々で上映すべきだし、半年後には金曜ロードショーでノーカット放送すべきである。今日はそんな風に思いました。






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