「テッド・バンディ vs ゲイリー・リッジウェイ 最狂シリアルキラー対決」感想

概要

原題:Bundy And The Green River Killer

製作:2019年イギリス

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:アンドリュー・ジョーンズ

出演:マーク・ホーマー/ジャレド・ネルソン/リチャード・マーク/フィリップ・ロイ/パリス・スタングル


1982年、ワシントンのグリーン・リバーで女性の遺体が多数発見される。全米を震撼せしむるグリーン・リバー連続殺人事件の幕開けであった。リチャーズ刑事は同一犯の犯行によるものと見て捜査するが、行き詰ってしまう。そんな折、フロリダ刑務所に収監されている殺人鬼テッド・バンディから捜査に協力したいとの申し出があり…


予告編

感想




アンドリュー・ジョーンズ監督・脚本による実録モノのサイコ・サスペンス。

アマゾンプライムにて有料299円で配信中。



ゲイリー・リッジウェイは1982年から何年もかけて71人もの被害者を殺害した連続殺人鬼であり、あの元祖シリアルキラー”テッド・バンディ”が捜査に協力したというエピソードがあります。ちなみにそれが「羊たちの沈黙」レクター博士のモデルになったとのことです。まあ実際にはテッド・バンディは何の役にも立たなかったそうなんですけどね。



しかし本作はこんなタイトルだし、もうちょっとおもしろく脚色されてるだろうなと期待するじゃないですか。いや、アンドリュー・ジョーンズ監督のことはよく知ってますから普通の意味でおもしろいわけがないことは想像がつきますが、わざわざこの題材でやるからにはつまらない実話をそのまま再現することもなかろうと。何かしら斜め下の展開を見せてくれるんじゃないかなと。あわよくば直接殴り合ってくれたりするんじゃないかなと。



しかし、何もないんだなこれが…

シリアルキラーたちによる殺人シーンなどほぼないも同然だし、テッド・バンディは思わせぶりでそれっぽい話をするだけで本当に何の役にも立たないままあっさり死刑執行日を迎えてしまう。


「異常な人間に普通を当てはめはダメだ」(字幕原文ママ)


と言われてもまあそうだよねとしか。

バンディによれば「昨今の流血ホラー映画がやばい奴を生んでいるんだ、僕の頃は刑事雑誌しかなかったのに」ということでした。刑事雑誌って言われるとえらいマニアックな感じしますね。まあ刑事ではなく探偵のことだろうけども。



というかこんなタイトルのわりにバンディの死刑執行が早すぎて残り時間一体何すんのよと心配になります。現実では結局リッジウェイは20年間も捕まえられず、2001年のDNA鑑定でようやく逮捕に至りました。そのままやったら大して面白くなりそうにない結末ですが、本作は特にエンタメ的脚色などせずぬるりとリッジウェイを捕まえてオワリ。



まあ…いいんですけどね。この監督の「エイリアン:バトルフィールド」などのことを思えば、何となくシリアスなサイコサスペンスっぽく見えなくもないというだけでも奇跡的な快挙のように感じます。



たとえアメリカの事件を全てイギリスで撮影していたとしてもです。

たとえ殺人課のベテラン刑事がテッド・バンディに会う前、FBI捜査官に


「殺人犯と直接会うのはどんな感じ?」


などと真面目な顔で質問していたとしてもです。



ちなみにこの映画で一番面白かったのはその刑事の娘が「デブ」という名前だったことです。


「ごめんよ、デブ」

「デブ、お前が大事だ」

「デブが被害者なら法の裁きを望まないか?」


などと言ったセリフの妙が楽しめます。




「テッド・バンディ vs ゲイリー・リッジウェイ 最狂シリアルキラー対決」(Amazon Prime Video)


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