「マッドマックス:フュリオサ」 感想 深刻なマッド感不足

概要

原題:Furiosa: A Mad Max Saga

製作:2024年オーストラリア・アメリカ

配給:ワーナー・ブラザース

監督:ジョージ・ミラー

出演:アニャ・テイラー=ジョイ/クリス・ヘムズワース/トム・バーク/ラッキー・ヒューム/チャーリー・フレイザー/ネイサン・ジョーンズ


世界崩壊後、フュリオサは豊かな緑の地からディメンタス率いる暴走バイカー集団にさらわれてしまう。ディメンタスとイモータン・ジョーの争いに巻き込まれながらも、フュリオサは母の仇打ちと故郷への帰還を目指して生き抜いていく。


予告編

感想



(※注:ちょっと文句が多くなってしまいました)



「マッドマックス 怒りのデスロード」(以下FR)のフュリオサ主役の前日譚。



FRは公開当時、特に期待せず観に行ったらドハマリして7回も劇場へ通いました。あんなにも映画に熱狂したことはない。人生でも確実に五指に入る作品です。



それから9年も間が空いての新作。期待するなという方が難しい。だけどスピンオフだからマックスもいないし、一応ハードルは下げておくか…でも尺が2時間半もあるってことはFRより気合が入っているのかも…?



という微妙な気持ちで初日の夜、観に行って参りました。時間的都合によりスクリーンXの吹き替えで鑑賞。



結論から言えばかなり微妙でした。

私的には「ランボー/最後の戦場」の後に観た「ランボー ラスト・ブラッド」ぐらいのガッカリ感。



いや、面白いことは面白いんですよ。近年まれに見る大破壊的超絶アクションには違いない。FRを知らずに本作だけを見ていたら普通に大・興・奮していたことでしょう。…ただ我々はすでにFRを見てしまった後の人類であったという悲劇。本作はあくまで前日譚、スピンオフの範疇でしかなかった。終わってみればFRに向けての助走を見せられただけとしか思えず、カタルシスに乏しい。マッドでもなければマックスでもなかった。期待を超えてくるものはなかったんです。



やはり心のどこかで高すぎる期待を抑えられていなかったか。

それが敗因か。

まあ仕方がないですね。

FRを劇場で7回も観た後なんだもの。



物語は五章仕立てになっており期間も長い。疾走感がなく、丁寧すぎてローテンション。それでも要所要所でエンジンがうなりを上げ始め「いよいよレッドゾーンに突入か!?」と思えば急に赤信号で行儀良く停まり、あまつさえアイドリングストップまでしてしまう。そんな感じの繰り返し。



アクションシーンひとつひとつを見れば、FRに迫る熱量は感じるんですよ。グライダー部隊との戦闘やバレットファームでの争いがそうです。その辺は良かった。しかし散発的で連続性に欠けるため、いまいち熱が持続せぬ。音楽も前振りみたいなやつばかりでFRのように素直な盛り上げ方をしてこない。



しかもそのバレットファームでの戦いが最大のクライマックスになるとは全然考えておらず、スピンオフとはいえさすがに1時間くらいは…いや2~30分くらいは…FR並みのテンションになるバトルがあるだろう、当然もう一山あるんだろうと時計を見ながら考えていたらその後何もなかったのが一番の肩透かしでした。



ディメンタス軍とイモータン・ジョー軍の決戦はダイジェストというかほぼ描写がなく、憎きディメンタスがいつの間にか全てを失っていた。みじめに敗走中の仇にフュリオサは単身で追撃をかけ、復讐を遂げようとする…が、そんな死体蹴りみたいなシチュエーションでは全く熱くなりようがない。



全体的にマッドなやつが少なすぎるのではないか??というのもテンションが上がりきれない原因でした。イモータン・ジョーなどフュリオサとの衝突が描かれるわけでもなく、むしろ一番マトモな人物だったのではないかと思えるほどおとなしい。リクタスや人食い男爵は愛くるしいだけ(そこはそれで良いが)。ディメンタスも悪は悪だけど小物くさくてそこまで酷い暴君でもなく、何なら気の毒な過去すら匂わせる。乳首がちぎれて喜んでたシーンだけはちょっとマッドで良かったけども。



途中、フュリオサと良い仲になる偽マックスみたいなやつは完全非マッド人ながらなかなかのナイスガイで魅力的ではありました。でもいい人すぎるしFRに出てこないから死ぬんだろうなあ…と思ったらあのぬるりとした退場の仕方はある意味驚きました。



肝心のフュリオサもあんまし強くなさそう…という意味では「プレデター:ザ・プレイ」の主役を見た時に近い印象を受けました。アニャ・テイラー=ジョイは素晴らしい役者さんだとは思いますが、マッドみは感じられなく。過酷な境遇と言ってもあの世界の住人は大体あの程度の境遇が標準ではないかと思うので、そこも期待を超えてこなかった要因かなと。いや私が期待しすぎたのがいけないんですがね。



ただ、本作を観た後ならFRをより一層楽しめるだろうとは思うので、前日譚としてはそれが正しい在り方なのでしょう。ということで、今晩は久しぶりにFRを再見しようかなと思います。


コメント

匿名 さんのコメント…
予告で散々見せられて見るか悩んでました
ご感想を見るにちょっと行儀がよすぎるってことですかね?マッドマックス知らない人が見れば違和感がないかもしれませんね
岩石入道 さんの投稿…

>2024年6月1日 20:52の匿名さん

そうですね、行儀よくまとまりすぎてるって感じでしたね~
でも劇場で観る価値は普通にあるので観に行って大丈夫だと思いますよ、
ただ何回も行くほどじゃなかったって話なので。