「ファミリー・ディナー」 感想 断食明けの肉は格別

概要

原題:Family Dinner

製作:2022年オーストリア

配給:クロックワークス

監督:ペーター・ヘンゲル

出演:ピア・ヒアツェッガー/ニーナ・カトライン/ミヒャエル・ピンク/アレクサンダー・スラデック 


肥満気味の少女シミーは、イースター休暇に叔母クラウディアの家を訪れる。著名な料理研究家であるクラウディアの指導を受け、ダイエットを成功させるために。だが、息子フィリップと継父シュテファンの関係が悪く、居心地は針のムシロも同然。さらに叔母のダイエット指導は想像以上に厳しく…


予告編

感想



肥満体を何とかすべく料理研究家兼栄養士の叔母に弟子入りした10代女子が味わう悪夢的状況を描いたダイエット・スリラー(?)。

U-NEXT 770円で鑑賞。



主人公シミーは叔母クラウディアの家へ泊まりに…と言っても別れた夫の姪なので既に親戚でも何でもなく、赤の他人。家庭の雰囲気は最悪で常時ピリピリしている。そんなところに押しかけ、何泊もしてダイエット指導してもらおうという根性がまず凄い。



後夫のシュテファンは優しいものの、同じ部屋で寝ることになる息子フィリップは露骨にシミーを迷惑がる。静かにギスギス、実に辛気臭くドンヨリしたムードがみっちり詰まっています。



シミーはそんな険悪な家庭に堂々と居座れるほど強靭なメンタルをお持ちならば、ダイエット程度のこと独力でもたやすいのでは…と思わなくもない。



で、著名な料理研究家兼栄養士の指導するダイエット法とはいかなるものか? というと、まさかの単なる断食。それができるならますます自宅でやった方がいいのではないか。何の指導も受ける必要ないし。



あまり極端なダイエットは逆効果じゃないんですかね。私の身近にも極端に食事を減らして一旦急激に痩せてはまたそれ以上に膨らむことを繰り返している人間がいます。脂肪にも超回復があるのではないかと疑ってしまうほどです。



とはいえ弟子入りしたからには叔母の命令は絶対。シミーは「えぇ…何も食べちゃいけないの…?」と戸惑いつつ無表情で食卓につき、フィリップが食事しているそばでひたすら黙して座すのみ。何しに来てるんだ。



そんな気まずすぎるファスティングダイエットは実はそんなに重要でもないのでさておいて、この殺伐とした家庭の中で何か異様な企みが進行しているのだった。



そこらへんの展開は何となく予想できるようになっており、クライマックスの真相開陳もそこまで衝撃はないです。キリスト教の知識がある人ならイースターと悪魔崇拝だか黒魔術的なアレと関連付けて何かしら考察するんでしょうが、敬虔なるスパモン教徒の私にはよく分かりません。



そんなことよりむしろ


「このクソ野郎!!」


からの思い切りの良いドスドスに驚愕、そして流れるように手際の良いあの仕事ぶりは予想外に躊躇が無さ過ぎて笑ってしまいました。色んな意味で強靭すぎる。1週間も断食したあげく変なものを食わされてよっぽど怒り心頭だったんでしょうか。それとも罰を与えに来た神の使いか何かだったのか。宗教的な面は理解できないながらも、居心地の悪さでちくちくとフラストレーションを溜めさせてからの清々しい解放感が楽しめる作品でした。



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コメント

匿名 さんのコメント…
尼プラ「Let's 太って痩せるダイエット」という、
インストラクターがゲーゲー吐きながら増量→対象者と一緒に減量
狂った企画はちょっと面白かった

元が酷すぎてお蔵入りになってたとかいう曰く付きの太ましいエロ、
「キャビンフィーバー2」が入ってきた直後なんでタイムリー
「X」監督ってブ、整ってない人が好きなんでしょうか
ゲテモノ映画にしてもヒロインがギョロ目で可愛いタイプじゃない

ファスティングは10㎏減ぐらいはわりと簡単に行けますが、
そこから先が速筋鍛えてかないと止まるんですよね(実践した)
岩石入道 さんの投稿…
>2024年3月10日 23:51の匿名さん

そ、それは本当に狂っていますね…
狂気の沙汰ほど面白い、とはいえ人が吐いてるところは見たくないかなあ。
食べ物を粗末にするな!とか炎上しなかったんでしょうか。
キャビンフィーバーもあれか、ゲロ吐くやつかー…と思って未だに見てなかったり。嘔吐はいけません、食道傷めるし。
ファスティングは下手にやると筋肉も落ちそうですねえ。