「ザ・ヴィレッジ 呪われた村(ドラマ)」感想 バインド・ハザード

概要

原題:The Village

製作:2023年インド

配信:Amazon Studios

監督:ミリンド・ラウ

出演:アーリヤー/アードゥカラム・ナレン/ムットゥクマル・K


インドのド田舎で車がパンクし、立ち往生してしまった3人家族。夫のゴータムは近くの村へ助けを求めに行くが、戻ってきた時に妻と娘の姿はなかった。村人によればそこはカティヤルという呪われた廃村で、かつてここに立ち入った者は誰一人帰ってきていないのだというが…


予告編

感想



アマプラで無料配信中のインド製ホラードラマ。

だいたい1話40分で全6話。

前記事のコメント欄でちょっと話題になったので観てみました。



内容は、旅行中の幸せ3人家族が渋滞を避けてわけわからん田舎道に入ってみたら、バケモノが徘徊している廃村”カティヤル”に迷い込んでしまいさあ大変というもの。



このドラマ、掴みがめちゃくちゃ良いです。プロローグ、主人公ゴータムが登場する十数年前にカティヤルへ迷い込んだバスの乗客たちが、怪物じみた原住民のような部隊にザックザク殺られていく描写がえらい刺激的。頭を斜めに切り落とす!ヤリで頭串刺し!その辺のホラー映画も裸足で逃げ出すR-18クオリティの野蛮な人体損壊をエキサイティングに魅せてくれます。



そんなやべえ村に迷い込み、助けを求めているうちに妻子を何者かにさらわれてしまう医師ゴータム。なんせその辺のぬるいアメリカ作品ではなく阿修羅の国インドのドラマなので、女子供であろうと容赦なく酷い目に遭わされる無情展開もあり得そうで怖い。なかなかの緊張感です。…第一話までは。



しかし第2話以降から時代と視点がやたらとあっちこっちに飛び始め、まだ頼んでもいないのに「いかにしてカティヤルはバケモノの掃き溜めになったのか!?」を懇切丁寧に教えてくれます。謎解きモードに入るのがやけに早い。そういうのはもっと引っ張ってくれた方がいいと思うんですよね。もう少し得体の知れない廃村にドキドキしたいので。



まあしかしカティヤル魔界化のいきさつはビックリするほど酷い。いや、「ヒルズ・ハブ・アイズ」のインド版みたいなもんではあるんですが、舞台が80年代~90年代と考えると人権的に相当アレ。カースト制度は学校で習ったけど、それにしてもインド人マジか…とちょっと引きます。



カティヤルを支配する地主の権力が異様に強く、鉱山で働く労働者なぞゴミムシ以下の扱い。日本で言ったら確実に江戸時代かそれ以前の人権感覚。地主の理不尽に抵抗したリーダーの妹がケープ的な衣装を剥ぎとられ、首を掻っ切って自害したシーンが印象に残りすぎる。



そんなもん剥ぎ取られたところで別に大した露出でもないのに何をそんなに嘆いているのかと思ったら…嫁入り前の娘は背中を晒されただけで自害せねばならんようなのです。異文化についてああだこうだとケチはつけたくないけど、背中ぐらいでそこまでしなくても良くないか。



しかしそれすらもまだ序の口で、地主が勝手に土地を売ってしまい、突然労働者の集落が更地にされてしまう場面の酷さには開いた口が塞がらない。90年代のインドにはまだ居住権が存在しなかったようです。普通に住民が生活しているのに重機で家屋を破壊する絵面のインパクトよ。江戸時代の暗君でもそこまでしたやつがいたとは考えにくいのではないか。



まあなんやかんやあって製薬会社がそこに絡んできて、ついでに村が雑に大津波に飲み込まれてバイオハザード的な事案が発生してしまう…という話。なんであんなタイミングで大津波が…?というのはさておき。



敵側の首領がやたら小物臭い高笑いを連発してくれるおかげでもう恐怖感も何もなくなってしまうのですが、その所業があまりにもド鬼畜すぎて非常に胸糞悪い。ここまで度し難いクソ野郎もそうそう見られないレベル。なので、それはもう想像するもおぞましいほどのリベンジアタックを喰らわせてほしいと思って観てたんですが、なんかものすごくあっさりしていてそこはダメかなと。せめて縦に引き裂くくらいはしてくれないと…



バトル的な意味でのボスは他にいるんですが、見た目と挙動がボストロールそっくりで面白い。圧倒的な強さで味方を次々と屠っていく戦闘は見応えがあり、それまでのグダグダ感を一気にスッキリさせてくれます。総じて粗削りで勢いがあるかと思えばダラダラしたりと出来は微妙だけど、インドならではの個性とインパクトは強く、まあ楽しめました。




「ザ・ヴィレッジ 呪われた村」(Amazon Prime Video)



コメント

匿名 さんのコメント…
あ、なんか、スイマセン…

お約束
・「助けて」→断られる→「ふざけんな!」癇癪
・敵エリアで「女房ー!!」イヤッホーイ大声
・敵が身内と知りヘタレる強キャラ
・敵が気絶等のチャンスタイムに〇さない
・〇さなかったため逆転される
・敵にバイオハザード全バレされてスケールダウン
・一番ヤバかったのに親子3人バリアーで助かる

現地民
・親も子も上も下も煽りあう
・でも服を剥かれただけでハラキリ
・群衆は事あるごとに騒ぐが手を出さない

村描写以外「これ見たことあるわ」という要素が次々に
ふくよかな方々による、欧米風にパッケージされた妙に小奇麗なドラマでした
親父が医者なので娘を使った続編への引きもバイオ風味を醸し出してます
岩石入道 さんの投稿…
>2024年3月6日 19:34 の匿名さん

テンプレお約束なツッコミどころも多くて確かに
「小綺麗な欧米風にパッケージされた」
というのも分かるんですが、それはそれとしてインド要素も充分濃かったので
わりと楽しめました。itnの謎映画よりは断然クオリティ高いですしね。
服を剥かれただけで、っていうかあれ剥かれたうちに入るの??っていう笑
群衆が暴徒化しなかったのはインド産としては大人しかったですね、暴徒化すると
ジャッリカットゥみたいになりそうですが。
続編…出ますかね~、配信されたら一応見るでしょうが、
好感度高かったキャラクターが大体死んでしまったので期待薄ですね。

匿名 さんのコメント…
私が特徴的というかちょっと違うかなと気になった部分は、
「えっ、威勢良かったのに」ハラキリ&製造機にされた娘さんのとこで、

号泣→終わった?→号泣→ちょっと長…→号泣→…

と、国民性なのか泣かせるシーンが妙に長かったことでしょうか
哀しいのはわかってるから終わってくださいと願いつつ見てました
主人公妻も含めてみんな小太りパワー系だったのもインドを感じさせます
ボンボンはヨガマスターなヒゲでしたが

取り敢えず次があるならパパは敵の陣地で叫ぶの控えていただきたい
睡眠薬でボスねむらせたぞ!→女房の行方が分からない!→オキロー!!
お前…
岩石入道 さんの投稿…

>2024年3月8日 9:04の匿名さん

泣かせるシーンが長いというかあそこは「え?なんで自分で首斬った??」という戸惑いの方が大きくて…命が軽いんだか重いんだかよく分かりません笑
睡眠薬のくだりは何も疑わず飲んでしまうボスもアホだしせっかく寝かしたのにすぐ起こしちゃうしでちょっと笑顔になれましたね、まあボスの所業がアレすぎるので好感は持てないんですが。あそこは泣かせというより普通に気分悪くなっちゃいました。