「ポラリス 死闘のアイスロード」 感想 ハモニカ吹いて北極星へ

概要

原題:Polaris

製作:2022年カナダ

配給:「ポラリス 死闘のアイスロード」上映委員会

監督:KC・カーシュー

出演:ビバ・リー/ムリエル・デュティル/カミサ・ウィルシャー


西暦2144年、文明壊滅後。極寒の地でホッキョクグマに育てられた野生の少女スミがいた。だがある日彼らは狩猟団に捕らえられ、愛するホッキョクグマは殺されてしまう。スミは何とかそこから逃げ出し、北極星ポラリスを目指して歩を進めるが。


予告編

感想



白銀のマッドマックス!

並外れた戦闘能力を持つ少女が生き残りをかけて戦う!

…などと娯楽映画っぽい宣伝文句が踊っているSFバイオレンスアクション(?)

U-NEXT 1200円。



1200円も払って観たので正直に言わせてもらうと、全然面白いとは思えませんでした。マッドマックスっぽさをアピールしているがこれはかなりアート映画寄りの作風ではないかと。テンションくっそ低いです。アマプラの謎映画より製作費はかかっているけど、内容だけで言えば謎映画と同レベルの不親切感。前半はまだ観てられますが後半は眠ってしまい、そのまま2時間くらい起きられなかった。もったいないので後半もう一度観たけどやっぱりだるい。



序盤について言えば、ポストアポカリプス的白銀世界を徘徊するスミが悪者に捕らえられ、親代わりのホッキョクグマが殺されて怒りの脱出をかまし追われる身となるまでの辺りは、確かにちょっとだけ極貧雪国版怒りのデスロード風味と言えなくもない。トゲトゲしい被り物をしているボスが率いる狩猟団にも薄っすらとイモータン・ジョー軍団の臭いが感じられなくもない。登場人物は全員女性ですがね。



しかし事あるごとにハーモニカを吹き出す老婆と出会ってからは、事あるごとに誰かが気だるげにハーモニカをピープー吹いてるマッタリ感が画面を支配するようになります。文明壊滅後の極寒の地で、ボンヤリ横たわりながら天を向いてハーモニカを鳴らす。これ以上ないほどゲージツ的な光景。だるい。これは強烈な眠気が押し寄せてくる。



ホッキョクグマがあまりにあっさり殺されたのももったいなかったですね。ほんの少しでも暴れるシーンがあれば…いや、そういう趣旨の映画ではないので簡単に処理したんでしょうが、文明崩壊後の人類がそう簡単に勝っていい生物ではないので…。スミを育てたくだりといい、デカいクマがああも優しく弱い生物と描かれると熊害に悩む地域の人間としては若干モヤります。



そしてスミはなぜポラリスの方向を目指すのか…目指してどうしようというのか…彼女は野育ちで人語を解さないため会話もろくになく、私には全くついていけません。やっはりこれも聖書とか黙示録とかそういう系の前知識が無いとダメなやつだったりするんでしょうか。そもそも完全なる野育ちのくせにちゃんと服着て手袋履いてるし、スノーモービルは運転できるしで童話的なノリなんですよね。



ラストはもう…なんすかそれ…としか言いようがないフワフワ感。一応トゲトゲしい被り物をしているボスとの戦闘はそれなりに激しかったけど、あとは「ボンヤリ雪国星空ファンタジー」とでも呼称したくなる作品でした。




「アイス・ロード」(Amazon Prime Video)

「怒りのデス・ロード」(Amazon Prime Video)




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