「スイッチ・トリック 双子の罠」 感想 借りる時でも閻魔顔

概要

原題:Twin Betrayal

製作:2018年アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:ナディーム・スマー

出演:ジェン・リリー/ピーター・ダグラス/ジェイソン・オリーヴ/ニック・バラード/ヤスミン・エイカー


ジェシカは息子の親権を争い離婚調停中。そんな折、出張先で出会った魅力的な男性ハリーと一夜を共にしてしまう。だが、それは夫の仕掛けた罠だった。ハリーに脅迫され、7万ドルを要求されたジェシカは困り果て、かつて喧嘩別れした双子の姉アリーに協力を要請。彼女のおかげで何とかハリーの脅迫を撃退する。だが、ジェシカはその代償に親殺しの罪を被せられてしまう。



予告編

感想



トランスワールドアソシエイツ配信のアマプラサスペンス劇場。

どうでもいいけどちょっと前に「バッド・ツイン 双子の罠」なんてのもあったな…。サスペンスにおいて安易な双子ネタは好ましくないのですが、向こうのテレビ映画はわりとホイホイ出してきます。まあ、後出しではなく最初から双子前提なのでそれは別にいいんですが。とはいえ、双子で出来ることなんて入れ替わりか片方が片方を陥れるか、大体そんなもんですね。



ただ本作の場合、登場人物がクズだらけなうえにツッコミどころ満載のスピード展開の方がスゴくて双子がどうのこうのはもはや些事であるような気がしてきます。



「無難で事なかれ主義」と言われている主人公ジェシカですが、無難どころか相当なビッチに見えます。息子の親権争い中に出会ったイケメンと一発やらかしてしまい、脅迫される羽目に。と言っても要求されたのは7万ドル。例によって子供と2人だけであんな大豪邸に住んでいるのだから、そのくらい難なく出せるのだろう…と思ったら全然無理なご様子。家売ればいいんじゃないの?借家ですか?



仕方なく富豪の父親へカネの無心をするも、けんもほろろに断られて逆ギレ。

「説教しないで!余る程お金があるんだから助けてよ!」

「私よりお金が大事なのね!!」

ときた。お金を借りたいならもうちょっと下手に出ないとさあ。説教ぐらいされても仕方ないことしてるんだからさ。その捨て台詞も最低ですよね。それにしてもアメリカには街金闇金は無いんですかね。



他にアテがないので仕方なく絶縁中の姉アリーにもカネの無心をしてみるも、そんなカネはないと言われてまたしても逆ギレ。というか無心をする前にアリーの過去を責め立てており、さらにはカネの要る理由を訊かれても「話す必要はない」ときた。なんと見苦しい女なのか。それを言ったらお前に貸す必要もないだろとしか。とてもじゃないけど頼みごとをする人間の態度とは思えません。何かもう子供をダシにすれば貸してもらえて当然と思ってる節さえ感じられます。こういうタイプの人はたとえ借りても返すことはないでしょう。端的に言ってクズです。



それでもアリーの協力を得てイケメンの脅迫を録音し、撃退することには成功。しかし思ったんですが、別に協力してもらわなくても録音すること自体はできたのでは?という気がしてならない。



そこで見るからに何か悪だくみをしている面構えのアリーは、ようやく安堵したジェシカを陥れるための罠を張っており、ついには父親が殺される事件が起こってしまう…



…のですが、父親殺しについての描写は一切なく、刑事さんたちも詳しい状況を話してはくれません。そのわりに容疑者はアリーかジェシカの二者択一になってたのはどうしてなんでしょうか。そりゃ富豪が殺された場合、相続人が怪しいに決まってるでしょうけど、アリバイがないってだけで犯人確定で刑務所にぶち込んでしまってもいいもんですかね。この辺、展開がすごく早く感じます。



そんな風に荒々しいながらも暴走列車的なスピード感で突き進むので、アマプラサスペンス的にはそこそこ楽しめる方でした。決着の付け方は「え!?今更またそんなんで騙されるの!?」「なんで今度は刑事とイイ感じになっちゃってるの!?」とまあ最後の最後まで気の抜けない作りなので、好事家の方には一見の価値がある作品かと思います。



「スイッチ・トリック 双子の罠」(Amazon Prime Video)


コメント