「ホーリー・トイレット」 感想 地獄の激痛イライラ棒

概要

原題:Ach du Scheisse!/Holy Shit!

製作:2021年ドイツ

配給:アルバトロス・フィルム

監督:ルーカス・リンカー

出演:トーマス・ニーハウス/ギデオン・ブルクハルト/オルガ・フォン・ラックヴァルト


建築家のフランクは目を覚ますと建設現場の仮設トイレで倒れていた。右腕を鉄筋が貫通し、全く身動きがとれない状況で。しかも、すぐそばには解体用のダイナマイトが仕掛けられていた。爆破まで残り34分しかないと知ったフランクは何とか脱出を試みるが…


予告編

感想





悪魔トイレの次は聖なるトイレ!?

少し前には便座オブザデッドなんてのもあったし、近年なぜかトイレが舞台の臭そうな映画が増殖してきました。しかし本作はそんなトイレ映画群の中でも最も狭い仮設トイレが舞台で、それも最初から最後まで一歩も外に出ることがない。かなり尖ったワンシチュエーションスリラーだと言えます。



そんなキワモノでも全国ロードショーされるだけはあり、クオリティは高いです。トイレが舞台の糞便映画としては史上最高と言っても間違いではないでしょう。…もっとも、お客が入るとは到底思えませんが。私が観た時も、私の他にはおじいちゃんが3人いただけなうえ、そのうち1人はブツブツ文句を言いながら途中退席してました。



リゾートホテルを建設するため、既存の建築物を爆破解体しようとしている現場の仮設トイレ。

そこから出られないのはロックされているからではなく、長ーい鉄筋が腕に刺さって釘付けにされているからですが、その必要以上に痛々しい傷口の描写がやたらジュクジュクしていて強いエグ味を感じさせてくれます。さすがドイツ製、こだわりの人体損壊描写に唸らざるを得ない。嫌がらせのように何かと腕にダメージを与える描写が繰り返されるし、特に鉄筋から腕を外そうとする場面はもう近年稀に見るほどの激痛厭シーンです。



すぐそばにある解体用のダイナマイトがあと34分で爆発すると知り、当然スマホで助けを呼ぼうとするも、もちろんスマホは便器の中で糞尿に漬かっているイジワルな状況。なんとなくコミカルで笑ってほしそうな雰囲気は感じるものの、腕の傷口があまりにも激痛すぎるのでそれほど笑えません。傷口に糞尿が触れるって普通にめちゃくちゃ怖いですしね。破傷風やら何やらよく分からん感染症でえらいことになりそうで。



ただ、そのリゾートホテルに出資している投資家の「タケシさん」という名前がたびたび出てくるところは笑ってしまいますね。どうもホテルの建設予定地にある建築物を予定通り爆破解体しないことにはタケシさんの資金が引っ込められてしまうらしい。姿は一切出てきませんが、やたら存在感のある日本人です。さらに前半の山場とも言える場面ではよりによって「君が代」がこのうえなく印象的に使用され、日本人としてはちょっと複雑な気分になります。日本に向けて作ってる面もあるのかな。



舞台が極狭ながらも次から次へと何やかんや起きるので退屈する暇もなく、痛みと糞尿と爆弾とクソ野郎の織り成す汚らしいスリルを存分に愉しむことができました。私はこの手のキワモノが絶えることなく劇場で公開されてほしいと願っていますので、気になった方にはなるべく劇場で鑑賞して頂きたいなと思います。


コメント