「奇術師ジミー 呪いのマスク」 感想 ジミーと炎の拷問部屋

概要

原題:Torture Chamber

製作:2013年アメリカ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:ダンテ・トマセリ

出演:ヴィンセント・パストーレ/クリスティー・サンフォード/リン・ローリイ


顔が焼けただれた少年ジミーは狭い檻に監禁されていた。彼の母と兄は、ジミーに悪魔がとりついていると信じていたのだ。だがある夜、ジミーは突然脱走してしまう。そして少年院の子供たちを洗脳して従え、恨みのある人々を次々と捕えて拷問し始める。


予告編

感想



11月配信のアマプラ謎映画の中では一番面白そうに見えたホラー映画。



しかし実際は、別に奇術師でもなければ特に大した呪いのマスクでもなさそう、しかもジャケに映っているのもジミーではないという虚偽表示ぶりに唖然とさせられる微妙な作品でした。それにしても「ジミーは檻から奇術師のように脱走するの…」の一言だけでこの邦題にしてしまう配給会社のラフプレーときたらね。かといって脱走シーンがあるわけでもないし、一体どこが奇術師なのかと。ちなみに原題は「拷問部屋」となっており、主な見せ場はその通り痛々しい拷問シーンです。



内容は、顔が焼けただれ悪魔にとりつかれたとおぼしき少年ジミーが洗脳した少年たちを引き連れて町の人々を拷問しまくるというもの。



悪魔憑き少年ということで「オーメン」のようでもあるし、ふと窓の外を見たら幽霊のように突っ立ってる姿はブギーマンのようでもある。主な舞台となる古い地下牢とか拷問室は雰囲気満点だし、ジミーによる拷問描写はけっこうエグくて悲惨なのでそれなりにコワイ感じはします。それなりに。



しかし、ジミー少年以外の人物については描写が極端に薄く、単なるモブが適当に処理されているようにしか見えないのが厳しいところ。ジミーも劣悪な環境で育った描写があるとはいえ、別に同情したくなるほどの身の上でもない。いくら映像的に悲惨だとしてもこれでは全然感情が刺激されません。ジミーに立ち向かう、あるいは謎を探る主役的なキャラクターがほしい。しいて言えばフィオーレ先生がそのポジションっぽかったけども終盤でなぜかいきなり失踪するし。兄貴と母親も最初と最後くらいしか出てこないし。ストーリー性に乏しすぎてどうにもボンヤリしてます。



さらになぜか低予算謎映画にありがちなんですが、時系列がやけに入り乱れてたり、そのうえ夢や幻想のシーンがたびたび入り込んできて無駄にめんどくさくなっているのも難点。わかりにくいだけで何もいいことがない。せっかく雰囲気だけはあるんだから、頼むから小手先のテクニックで哀れなクソ映画マニアを翻弄しようとせず普通に撮って普通に編集してほしい。そんな風に思いました。



「奇術師ジミー」(Amazon Prime Video)



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