「死の約束」 感想 田舎派 vs 都会派

概要

原題:Waidmannsdank

製作:2020年オーストリア

配信:Mona Film Produktion

監督:Daniel Prochaska

出演:Jutta Fastian, Pia Hierzegger, Robert Stadlober


オーストリアの人里離れた小さな山村で、一人のハンターがハシゴから落ち枝に刺さって死亡する事件が発生。地元警官のマルティナと都会からやってきた刑事アハムは捜査に当たるが、その小さすぎる村では土地の売却や女性問題絡みでの面倒な人間関係が渦巻いていた。


予告編

感想



オーストリアのサスペンステレビムービー。

アマプラで100円配信中。



テレビ映画とはいえこれはちゃんとした原作小説があるせいか、かなりクオリティが高く感じます。毎度ながら携帯が通じることが不思議なほどのとんでもない山奥が舞台で、どんよりと陰気臭く淡々としてはいます。それにしてもなんでいつもあんなド田舎でやりがたるんでしょうかね。山々の稜線が連なる雄大な景観はいかにも清々しい空気が吸えそうですが、内容がとにかく暗くてジットリしているので爽やかさの欠片もなく何だかもったいない気がします。



本作は殺人事件が冒頭の1度だけではなく、脅迫状が送られてきたり、銃による襲撃事件が起きたり、第二第三の凄惨な殺人が起きたりとオーストリア製にしては珍しく刺激的な展開が色々と盛り込まれており、アマプラ謎映画当たり屋の血を騒がせてくれます。それにしてもホラーやサスペンス映画を観ているといつも思うんですが、シカの頭のはく製を壁に飾るのは危ないからやめた方がいいでしょうね。大抵誰かがツノに刺さって死にます。



農場を売却して都会へ出ていきたいグッゲンバウアー、その息子で農場売却に反対しているハネス、かつてグッゲンバウアーに妻をとられてそれ以来反目し合っているハンターのフラッチャーが殺人事件に深く関わる登場人物で、捜査するのは地元の警官マルティナと都会のおばさんデカで高所恐怖症のアハム。



殺人や脅迫状を出す動機を持つのがハネスとフラッチャーの2人しかおらず、それも中盤でどちらが犯人なのか視聴者には分かるようになっているので、サスペンスとはいえトリックやミスリードとか衝撃の真相とかそういうのはありません。事件が起こるに至ってしまった人間ドラマの方が主軸といった雰囲気かなと。その問題となる人間関係については「田舎に居たい派」と「都会に出たい派」の対立なわけですが、道民で基本田舎派の私でもあの村はさすがにイヤだなあと思いますね。田舎愛にも限度がありますよ。村人全員が知り合いというのは息苦しすぎる。フラッチャーは村八分にされてるし…



ただそのフラッチャーも雄大な山々を背景にいきなり全裸で水浴びを始める等の奇行を見せるので村八分にされても仕方がないかもしれません。あれほどみっともない全裸中年男性を見たのは久々ですよ。いや、お肌は比較的綺麗でしたけどね。あのシーン本当に必要だったのかな。まあ、自分は年を取ってもあんな体形にならないよう気を付けていきたいところです。



「死の約束」(Amazon Prime Video)

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