「ジョーズ・リベンジ」 感想 別に復讐はしてないけども

概要

原題:ESCAPE OF SHARK

製作:2021年中国

発売:AMGエンタテインメント

監督:ジュ・ジァン

出演:ユゥ・バイリン/シュー・ドンドン/チョウ・シンエン/リュウ・チェンユー


リゾート地のビーチに突如大津波が襲来。生き残ったわずかな人々は浸水したホテルに閉じ込められてしまう。そのまま救助を待つことにするが、やってきたのは人ではなく血に飢えたサメであった。


予告編

感想




中国産の新作サメ映画。

何だかいつにも増してジャケットデザインが投げやりです。既存の素材をテキトーにコピペしてでっちあげたとしか思えません。こんな手抜きジャケ絵でいいなら私でも作れそうです。

しかも邦題が「ジョーズ・リベンジ」って…一体何が何に復讐していたのか。

「さらに巨大に」って…大してデカくもないというかむしろ小さめのサイズ感でしたが…。



そんな配給会社のくそやっつけ仕事ぶりに加えてわずか66分という短尺。私は基本的に長い映画は好みませんが、だからと言ってあまりに短すぎるのもかえって地雷率が高いのです。60分台は特に危険な水準。なので、これは相当ひどいクソサメ映画なのではないか?…と警戒していたのですが、これが案外そこまで悪くはない。



オープニング、海中で結婚式を挙げているカップルの片割れがサメに喰われるシーンのインパクトがなかなかです。まずそんな変なシチュエーションを初めて見たし、中国映画にしては極めて珍しいことにちゃんと流血描写があります。海中でウェディングドレス姿の女性がサメにモグモグ咀嚼されている! これは素晴らしい。中国サメ映画史の中でも屈指の良珍捕食シーンとして語り継がれることでしょう。



ただ「巨大人喰いザメが巨大津波と共に襲い来るダブル・ディザスターパニック!」という売り文句にはかなり既視感があります。案の定、「ジョーズ・イン・ツナミ」「パニック・マーケット」と同じような流れ、同じようなシチュエーションでのサメとの闘いが描かれます。津波でサメが流されてくる中国映画では「超強台風」なんてのもありましたね。サメ映画というジャンルの中でもさらに「津波モノ」というサブジャンルを形成できそうな感じがしてきました。



本作は尺が短いくせに中盤はサメがほとんど出ず、人間だけでホテルをウロウロしているのがちと退屈。それでも下からサメが飛び上がって人に食らいつくシーンなどはおそらく「ディープ・ブルー」のオマージュと思われ、中国人のサメ映画愛を感じとることができます。生存者みんなで力を合わせてサメと戦うクライマックスは感動的であり、成金バカ息子の末路にもニッコリ。オープニング以外は特にひねりはないものの久々に「そこそこマトモなサメ映画を観たなあ」という満足感を与えてもらえる作品でした。

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