「ハリケーン・マックス 超破壊」 感想 エンタメに物理法則は無用

概要

原題:終極台風 Super Typhoon

製作:2020年中国

配信:ハーク

監督:ドン・ウェイ

出演:リー・グオ/チェン・イエリン/ジン・フォン


中国のどっかに史上最大規模の超強い台風が上陸。田舎道を走っていたバスが強風にあおられ、崖から転落してしまう。だがバスは崖の中腹の岩にひっかかり、乗員乗客はかろうじて即死を免れた。少しでもバランスを崩せば遥か下の荒れ狂う海へ転落してしまう状況で、元救助隊員の陳は乗客を救うため崖をよじ登るが…


予告編

感想





また中国映画ですが、今度はシンプルなディザスターパニックもの。

超強い台風に巻き込まれたバスが崖から転落し、何とか中腹に引っかかったもののバランスを崩せば即落下というユニークなシチュエーションからスタート。



本作、ハナっから物理法則などガン無視してかかってきます。断崖絶壁をものすごい勢いで飛び出してゴロンゴロンと何回転もしながら激しく落下していくバスを見ていると、どう考えても乗員乗客は全身の骨バキバキで死んでるだろうとしか思えないのですが、当然のようにみんな軽傷で笑ってしまいます。というかあんなに激しく落下しておいてちょっとしたでっぱりにひっかかって止まるってのも崖から重力が発生しているとしか思えません。



目が覚めてギリギリの状況だと気づいた乗客たちが全員エゴ丸出しで子供のようにギャースカ騒ぐのは笑いを取りに来ているのか、それとも中国人の国民性なのかよく分かりませんが、変にかっこつけてるよりは素直でいいかなあという気もします。



元救助隊員の陳がまず崖を登り、あとはロープで他の乗客を一人ずつ引っ張り上げる…という一見ごく理にかなっているかのような真っ当な救助作戦が展開されますが、すいません。中国映画界をなめていました。私のちんけな想像をはるかに上回る非常識な絵面を連発してくれます。「面白くするためなら物理法則はあえて無視するんだ!常識に囚われている観客であればあるほどぶったまげて爆笑してくれるさ!」という姿勢で作られたとしか思えないほどアレ。



まあそこは実際に見て頂きたいので詳しくは書きませんが、「あ!?主役なのに死んだぞ!?」と我が目を疑ってからの「今なんで助かったの???」と思わず巻き戻してしまうような超アクロバティックなクライミングシーンは珍作映画マニアならば一見の価値があると言えます。というかどう見たって死んだとしか思えない映像を乱発してくるのは卑怯ではあるんですが、他にそんな恥知らずなスリルの煽り方をしてくる映画を観たことが無いので仕方ありません。これはこれで新感覚。



崖を登るまでの展開があまりにエキサイティングなのでそれ以降はどうも失速してしまった感が否めないものの、最終的に生き残るメンバーもまた常識外れというかこの手のディザスターパニックでは確実に初めて見るパターンのエンディングでまたビックリです。何か小ぢんまりとまとまりがちな中国映画の中にあって正に「超破壊」の名にふさわしく非常識な出来で、ある意味大変面白い作品でした。


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