「エクソシスト・シャーク」 感想 伝説のクソ映画の謎が色々と明らかに

概要

原題:Shark Exocist

製作:2015年アメリカ

発売:コンマビジョン

監督:ドナルド・ファーマー

出演:アンジェラ・ケレック/ボビー・ケレック/チャニング・ドッドソン/マディソン・カーニー/アレイン・ハンティントン


邪教に魅入られ大量殺人を犯した修道女ブレアは、最後の生贄を捧げて儀式を完遂してしまう。世界を恨み、神をも恐れぬ彼女が召喚したのはこの世の全て食らいつくす異形の存在、悪魔鮫≪デビルシャーク≫だった!悪魔鮫は次々と人間に憑依し、平和だったはずの田舎町は血に染まっていく。悪魔鮫の犠牲となった弟の無念を晴らすため、神父マイケルは十字架を手に悪魔鮫祓い≪シャーク・エクソシズム≫に挑まんとしていた…!

(↑コンマビジョンHPより)


予告編

感想





説明不要のレジェンド級クソサメ映画「デビルシャーク」が装いも新たに帰ってきた!

新邦題は「エクソシスト・シャーク」と一見普通すぎてつまらなくなったように見えますが、これを略すと「クソシャ」となり、これ以上ないほど中身を的確に表現した素晴らしい新邦題と言えます。「デビシャ」の禍々しい語感も嫌いではなかったですけどね。



竹書房より発売された「デビルシャーク」のDVDが廃盤で入手困難となり、さらにアマプラ等でのストリーミング配信もあえなく権利切れで終了。日本において鑑賞する手段が失われてしまい、本作はこのまま伝説のスーパークソ映画として後世に語り継がれていくのみかと危惧されておりましたが、見事復活。いつもながらコンマビジョンの蛮勇には驚かされるばかりです。リニューアルしただけでも凄いのに監督のオーディオコメンタリー付、さらに台本まで付いてるとはね。かつてここまで狂気を感じた商業製品は記憶にありません。



本作はあまりにも人知を超えたクソっぷりが逆にたまらないとクソ映画マニアたちの熱い支持を集め、カルト宗教と化していました。「ここまで酷すぎるクソ映画、観たことないぜ!」と多くの人々を感動させたデビシャ改めクソシャ。正直言ってもう二度と観たくなかった。



でも字幕とかは竹書房版とまた違うだろうしせっかくだからと再見したわけですが、「サメデター」と比べたらまだストーリー自体は理解可能な部類なんじゃないかなと思いましたね。いや、やっぱりよくわからんけどサメデターと比べたらまだね。



それにしても改めて観てもゲロを吐く回数が無駄に多いし、何よりいきなり知らないオッサンがジョギングしてるところを1分以上に渡って映し出すシーンの異様さ、知らない女性ビルダーをひたすら盗撮しまくる変態の異様さには毎回圧倒されます。どういう意図をもって見せている映像なのかまるで分からないんですよ。



しかし、本製品にはなんと監督のオーディオコメンタリーが付いております。それに気づいたのは本編をリピートした後だったので、泣く泣く音声を切り替えてもう一度リピートしました。コメンタリー付きとはいえクソシャを2連続鑑賞するなんてこの世の地獄以外の何物でもない。時間がもったいなさすぎるので夕食を頂きながら観ましたがゲロシーンが多すぎて実に不快でした。



で、監督のドナルド・ファーマーは真剣に本作を撮ったのだなあということが伝わってきて実にアレ。決してクソ映画を撮ってるつもりではないんですよ。興味深いと言えば興味深いんですが。映画業界の見てはいけない暗部を目撃したようないたたまれない気分にならなかったと言えば嘘になる。彼は「シャークネード」を見てエクソシストシャークを合体させることを思いついたが、それに倣って「シャークソシスト」というタイトルにすることを周囲に勧められたとか。



しかし、彼にはタイトル一つとってもかなりのこだわりがあり、長い単語はタイトルが小さくなってインパクトが薄れるとか文字が小さくなるとか発音しにくいとか非常に細々とした理由を挙げて今のタイトルになったと解説してくれます。もちろんタイトルだけではなく特殊効果だのロケ地がどうの、スケジュールがどうのとクソシャに関する非常に詳細な裏話を71分間ずっと喋り倒してくれるので、クソシャファンにとっては絶対必見の濃いオーディオコメンタリーとなっております。



そんな中でも一番興味深かったのは出演者についての裏話で、彼が関わった俳優の中には「セリフを全く覚えられない人もいる」とのことでした。そんなの陸上歩行できないサメと同じくらい矛盾した存在なのではないかと思いましたが、それでもそういう役者が必要なのだそうです。わけわからん。



また、本作に出てくるプール付きの家は悪魔鮫に憑りつかれた女の子のリアル自宅とのことなんですが、そこを使わせてもらう条件として彼女と友人たちを出演させろと言われたそうです。こんな映画に出たがる人がそんなにいるなんて信じられませんが、監督は「出演は本人だけで友人たちはさすがに断ったよ」とか何とか言っていました。クソシャにすら出演を断られる人々の悲哀はいかばかりか。まあどちらかと言えば出ない方がいいんじゃないかなと思いますけどね。



で、本作最大の謎として長年クソ映画マニアを悩ませてきた「知らない女性ビルダーをひたすら盗撮しまくる変態」のシーンですが、監督によれば「彼の意図がわからないと言われるが、私にとっては明確なんだ」だそうです。そりゃ本人にとっては明確でしょうけどね。で、その変態は「推理小説における燻製ニシンに過ぎない」…とのことですよ。何か無駄にインテリジェンスな解説ですが、要は目くらましだと言いたいらしい。「繰り返すが、観客の注意をそらす役目だ」…とのことですよ。別にわざわざそらさせようとしなくてもクソシャに注意を向け続けられる人なんて極々一握りのサイコクソ映画マニアだけだと思うんですがね。



まあそんな感じでクソ映画マニアであればこのDVDは当然購入しているでしょう。毎度のことなのでもうスクショは貼りませんが、特典映像には私の名前も刻まれておりますので暇な人は見つけてみて下さい。


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