「生き埋め」 感想 地獄の三角関係

概要

原題:Zelazny most (The Iron Bridge)

製作:2019年ポーランド

配信:アマゾンプライムビデオ

監督:Monika Jordan-Mlodzianowska

出演:Julia Kijowska, Bartlomiej Topa, Lukasz Simlat


カクパーとオスカーは同じ鉱山で働く仲間だった。だがある時からカクパーはオスカーの妻マグダと不倫関係になる。カクパーはマグダと密会するため、オスカーを鉱山の奥へ行くよう仕向けるが、落盤が起きてオスカーは生き埋めとなってしまう。


予告編

感想




ポーランド製のものすげえ陰鬱で辛気臭い映画。


「産まれた瞬間に人生が終わってゐた河童」ことjetさんにこの作品の話題を振られたので、がんばって観てみました。



ポーランド映画って普段全然観ないし、知ってるのもせいぜいアンジェイ・ワイダ作品ぐらいしかありませんが、どうしても沈鬱で暗くて難解なイメージがすごくあります。本作もその想定を裏切ることなく、ロクな説明もなく、たまらなくどんよりしたムードで淡々と進行していきます。ポーランドの風景も本当に何だか色彩に乏しくて活気がなく、寒々しい感じ。



内容は上の概要欄に記した通りですが、主に人間の愚かさとか浮気された旦那のやるせなさをひどく淡々と描いたドラマであり、ひたすらゲンナリする1時間20分となります。こんな暗い話では一瞬たりとも楽しくなりようがありません。一体どういう気分の時に観たらいいのか。どういう層がこういう猛烈に暗い欧州映画を好んで観ているのか。ある意味サメ映画界隈並みに理解しにくい趣味世界です。



それでもアマプラ内に蔓延る itn 作品に普段から慣れ親しんでいる猛者であれば、さほど苦も無く最後まで落ちずに見通すことも可能でしょう。一応クオリティは普通に高い方ですからね。例えば生き埋めにされたオスカーの方は一切姿を映さず、声も聞かせず、という徹底した描写がかえって彼の悲惨な心情を強く現わしているようで、本当に居たたまれない気分になります。生き埋めにさせてしまったカクパーは彼を必死で助けよう、何とか通信しようと努力しているのに、マグダの方はあんまり熱心ではないように映る。なんでそうなったのか彼らの人間性、関係性を示す具体的なエピソードは少なく、そんな突き放し加減も実に冷たく感じられ、サメ映画などとは違った意味で虚無的な心情になりました。



なんかこういうのを観ると、欧州映画人の「人間はクソ」で「映画は人間を描くもの」だから「楽しい映画なんか嘘っぱちなんだぞ!これがリアルな人間なんだぞ!!」と言いたげな青白い顔が浮かんでくるかのようです。まあ、たまにはそういう苦みを味わうのもいいですけども。

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