「アントラーズ」 感想 重い!暗い!救えない!

概要

原題:ANTLERS

製作:2021年アメリカ・カナダ・メキシコ

発売:配信のみ

監督:スコット・クーパー

出演:ケリー・ラッセル/ジェシー・プレモンス/ジェレミー・T・トーマス/グラハム・グリーン


オレゴン州の田舎町で教師をしているジュリアは、教え子のルーカスがイジメや虐待を受けているのではないかと思い、気にかけていた。だが、彼の背後にいたのは先住民族の間で語り継がれる禍々しい悪霊・ウェンディゴだった。


予告編

感想



ひとつ前に見た「生き埋め」よりもさらにズッシリ激重、雰囲気も画面も死ぬほど暗く、ストーリーも何一つ救いようがない陰鬱極まりないモンスター映画。あんまり気分が滅入るので観終わるまでに3日もかかってしまいました。まあ後半はわりとエキサイティングな場面もあって良かったですけど。



舞台は廃れ切った田舎の炭鉱町。こういうところは別に何事も起こらなくても存在そのものが悲しいです。本作はそんなところに住む人々の境遇もえらく悲惨。主人公である教師のジュリアは性的虐待を受けていた過去を持っている。彼女が気にかけている教え子ルーカスも親がヤク中でネグレクト状態。そのうえ「でも、家族なんだ」とスカンクを捕まえてきて食わせるとか超過酷なヤングケアラー的な役割をこなしてたり、学校でも酷いイジメを受けてたり…とハナッからとにかくろくでもなく、不幸のよくばり詰め合わせセットみたいな展開を見せられて滅入ります。このうえさらに人間に憑依し人肉を貪り喰らう魔物ウェンディゴによってさらなる絶望のドン底に叩きこまれてしまうからたまらない。



私としては、ホラー映画では「楽しかった日常が暗転する」ところが好きなので、こういう最初から悲惨オブ悲惨な人々に追い打ちをかけるような話はちょっと苦手です。真面目な社会問題を練り込んであるのも同様に。ホラー映画にはそういうものはあんまり求めていないのです。



…という点に苦痛を感じ、観るのに3日もかかってしまったわけですが、後半ウェンディゴが姿を現してからはそれなりにエンタメ感も増してきます。ルーカスをイジメていたクソガキが無残に貪り食われる場面は本作の数少ないスッキリポイント。出来ればもっとハッキリ描写してほしかったけど子供はやっぱりムリか。まあそのぶん大人が殺られるシーンはえぐいツノでザックリ刺したり、生きながら貪り食ったりと容赦のないゴア表現を楽しめます。




以下ネタバレ




ウェンディゴに憑依されたルーカスの父親は、ベルセルクの使徒みたいなデカくて禍々しい異形と化し、警官すら一撃で即死させるほどの人間を超越した存在でした。いや~、あんなんロケットランチャーでも持ってないと立ち向かえないよね。とか思いながら観てたら、炭鉱の奥でジュリアがそんなスーパーモンスターと正々堂々1対1の異種格闘戦になるという展開。



それはいいんですけど、まさかのジュリアのあまりにも一方的なワンサイドゲームになってて驚きました。あの女教師、文字通り怪物を超えた怪物じゃないですか。ルーカスを助けるためとはいえ強すぎる。前向きにとらえれば「悲惨な境遇にあっても人間は強い」みたいなメッセージを受け取れなくもありませんが、それにしてはその後の展開もオチも地獄だったので「悲惨な境遇では強い者だけが生き残れるのだ…」という風にも感じてしまいました。


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