「ノーマッズ」 感想 80年代悪霊ノマド珍走ライフ

概要

原題:Nomads

製作:1986年アメリカ

配信:アマゾンプライムビデオなど(株式会社ドマ)

監督:ジョン・マクティアナン

出演:ピアース・ブロスナン/レスリー=アン・ダウン/アダム・アント


医者のアイリーンは、病院に担ぎ込まれた男の死に際に意味不明な言葉を聞かされ、奇妙な幻覚を見るようになる。それは死んだ男の過去を追体験するものだった。その男は大都会に潜む邪悪な遊牧民に興味を持ってしまったことで、恐ろしい目に遭っていたのだ。


予告編

感想





ジョン・マクティアナン監督のデビュー作がアマプラで無料配信されていたので観てみました。


私は小学生の頃にプレデターとダイハードに熱狂していた人間ですが、本作の存在は寡聞にして知りませんでしたね。主演が無名時代のピアース・ブロスナンというのも今となっては不思議な取り合わせに感じます。



内容は、大都会ロサンゼルスに巣食う邪悪な遊牧民たち(ノーマッズ)の存在に気づき、彼らに興味を持って追いかけた人類文化学者がヒドイ目に遭うといった感じの低予算ホラー。その遊牧民が「パンク風のトゲトゲしいファッションに身を包んだ暴走族の悪霊」っていうのが今見ると猛烈にヘン。当時の感覚だとそうでもなかったんだろうか。襲ってくる時もハードロックなBGMなもんだからオカルトホラーとしてはかなりのインパクトがあります。



近年ではノマドワーカーだのノマド生活だの、昨年のアカデミー作品賞受賞作が「ノマドランド」だったりと何かと話題になる「ノマド」がめちゃくちゃ珍妙な形で取り上げられていてその辺は興味深いものの、見た目は本当にただの暴走族…いや、珍走団なのであんまりホラーっぽく感じられないし、怖くもない。女医が学者の過去を追体験するという形で語られるストーリーは現実と幻覚、現在と過去が交錯しており若干ややこしい。決してつまらなくはないけど、ジョン・マクティアナン製エンタメのつもりで観るとかなり微妙ではあります。ビルの上から悪霊を突き落とすシーンがダイハードっぽいとかそういう小ネタは楽しめますが。



この微妙な感触はレニー・ハーリンの初期作「プリズン」を観た時のものに近いと思いました。あれも無名時代のヴィゴ・モーテンセンが主演の微妙なオカルトホラーだったので…。とはいえ余計な先入観があるから微妙に感じるだけで、純粋に単品で考えれば良質な作品だと思います。巨匠ってやつはこういう低予算ホラーを足掛かりにしてのし上がっていった人が多いんですよね。本作が未だにBD・DVD化されてないことから考えてもそういった踏み台的作品が顧みられることは少ないわけですが、サブスクで配信してくれるならこんなありがたいことはないなと思いました。

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