「パペット・キラー」 感想 中年高校生の謎

概要

原題:Puppet Killer

製作:2019年カナダ

配給:ハーク

監督:リサ・オビエス

出演:アレクス・ポーノビッチ/リサ・デュラプト/リチャード・ハーモン/ジジ・サウル・ゲレーロ


幼い頃、両親やぬいぐるみのサイモンと一緒にホラー映画を観て育ったジェイミー。だが母親が病死し、その後来たいじわるな継母も森の別荘で失踪してしまう。10年後、高校生になったジェイミーが友人たちと森の別荘へ遊びに行くと、地下室でサイモンを発見するが…


予告編

感想




13金やハロウィン、シャイニング等の名作ホラーにオマージュを捧げまくったカナダ製のぬいぐるみホラー。



主人公は幼い頃からホラー映画漬けにされて育った少年ジェイミー。こいつがとんでもない曲者で、オープニングでは7歳の小さくていたいけな美少年なのですが、「それから10年後…」のテロップの後、いきなりちょっと槙原寛己似のアラフィフオヤジと化してしまうのです。しかもレスラー並みの巨漢。



もしや10年後じゃなくて40年後の間違いだったか…? と疑いましたが、舞台が高校になっているのでどうも設定上は17歳で間違いなさそう。若者たちに混じって純真な高校生のような振る舞いをするジェイミーには恐ろしいほどの違和感しかありません。高校野球の大会で今の槙原がマウンドに立っているかのような光景です。一応調べてみたところ、ジェイミー役の俳優は1969年生まれとのことでした。



これは一体どういうことなのか? まさかあんな老け込んだ高校生が存在するはずもないし、あの小さな少年がたった10年であんな痛風予備軍のようなデカいオッサンになれるはずもない。ということは、これは入れ替わりトリックの類なのではないか。つまりあの少年ジェイミーは10年前の時点でぬいぐるみのサイモンに殺害され、体を乗っ取られてしまったのです。しかし強力な悪霊であるサイモンが体に入ったことによりジェイミーの体はDNAか何かに異常をきたし、常人の10倍の速度で老けていくようになったと…



…しかし、ジェイミーと一緒に森の別荘へ遊びに来た友人たちも高校生のはずなのによく見るとかなり老けてらっしゃる。皆さんティーンエイジャーどころか明らかにアラサー・アラフォーです。この中年グループの中にいればジェイミーもそれほど目立たないな…と思いきや、ジェイミーだけ飛び抜けて図体がデカイのでやっぱり浮いてる。あの中にいても一番老けてるし、引率者のような貫禄すらありますね。



…にしても、こうなると先ほどの仮説も完全に破綻してしまいます。こいつらはぬいぐるみの悪霊のせいで老けたのではない。かといって実はやっぱり40年後で同窓会をやってました~なんて叙述トリックなわけはないだろうし…。となると、彼らは自分が高校生だと思い込んでる精神異常者の集団か何かなのではないでしょうか。森の別荘へ来たのは治療のためというわけですね。おそらくジェイミーは医者で、彼らに合わせて高校生のようなわざとらしい演技をしているのでしょう。



…というようなことを一生懸命考えながら鑑賞していたのですが、別にそんなややこしいトリックは何も仕込まれていませんでした。ただひたすらセサミストリートみたいなぬいぐるみが中年ティーンエイジャーという矛盾した存在を一人ずつ屠っていくだけのシンプルなスラッシャーでした。いや、ジェイミーが精神異常者かも?っていうネタはあるけど。



とりあえず頭カラッポにして見ればそれなりに笑って楽しめるレベルのスラッシャーではあります。ありますが、こんなの雑念なしで見通すのは不可能じゃないですかね。まあ個性があるのは大変いいことですが。

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