最近見たドラマ(クイーンズ・ギャンビットとブレイキング・バッド)の感想







イナゴマゲドン見たさでNETFLIXに再加入してみたものの、他にはそれほど観たい映画がない。「フィアー・ストリート」という殺人鬼ホラーは面白そうに見えるが、3部作構成なうえに一つ一つの尺も長い超大作のようで何だか手が出しにくい。かといって解約しようにも今度は「悪魔のいけにえ」の新作が独占配信予定とのことでそれは見逃せない。ということで少しでも会費の元を取るため、以前から興味があったアメドラを2つ見てみましたので、今日はその感想を書いておきます。


 




「クイーンズ・ギャンビット」



養護施設の用務員にチェスを教わった天才少女が並みいる強敵を打ち倒しチェス界で成り上がっていく話。去年の10月に配信(全7話)されて世界中で大ヒット。女性向けっぽい気はしましたがSNSでも知り合いが絶賛していたのを見て気になっていたので、これを機に視聴してみました。


…が、これはいまいち私には刺さらず、5話で挫折。才能に恵まれた者がトントン拍子に成功していくので爽快感はあるし、役者も美術も演出とかも非常に美しくかっこよくきらびやかなので人気があるのかなあと思いましたが、逆にあまりにキレイすぎる世界で私はのめり込めませんでした。養護施設の地下で気難しいオッサン用務員相手にこっそりチェスを教わる第1話は面白くてその後に期待できたんですが、大会でサクサク勝つようになって金に不自由しなくなってからは何かいまいち…。


一応主人公は天才美女というだけではなくヤク中だったりアル中気味だったりして「私もつらいのよ」「天才ゆえの孤独」感を出してはいるものの、そこまでおかしな振る舞いはしないし、ファッションもバッチリ。人脈にも恵まれていて、師匠も継母もすごく優しくていい人だし、チェスで倒した男たちもこれ以上ない屈辱感を味わったはずなのにみんな主人公に対して異常に優しくて親切で、素直に主人公の才能を称賛し応援してくれる。今ならともかく色々厳しかったであろう1960年代という設定なのに小生意気な女流棋士に嫉妬や悪意をあまりぶつけてもこなくて拍子抜け。この境遇で苦悩されても贅沢な悩みだなあと。悪人がおらず余計なもめ事がないのでストレスなく見やすいとも言えますが。


また、チェスの対局ではさぞかし濃厚な心理戦を見せてくれるのかと思いきや案外そうでもない。子供時代はまだいいけど大人になると対局が短く薄味になっていき、主人公やライバルがどういう風に強かったのかよく分からなくなりました。自分の感性がズレてるのか、読解力が足りないのか。世界で大絶賛されている作品をつまらなく感じてしまうことでむしろ私の方が孤独感を覚えてしまいました。



「ブレイキング・バッド」




うだつのあがらない貧乏化学教師が肺ガンで余命わずかと宣告され、妻と子に金を残すために覚せい剤製造という犯罪に手を染めてゴロゴロ転落していく話。ずっと前から観たいと思っていたものの5シーズン(全63話)もあるため躊躇していましたが今回ようやく視聴。とりあえず2日半でシーズン3まで観ました。


くたびれたオッサンがブリーフ姿で荒野に立ってる絵面からは「決して媚びない」意思を強く感じられて非常に好ましいです。出てくるのもハゲのオッサンとハゲのチンピラばっかし。やっぱり美男美女のきらびやかなサクセスストーリーよりも、貧乏人が超ド底辺の泥沼地獄でのたうち回る犯罪劇の方が私はいいですね。その点このドラマのそれは他で見られるものよりだいぶ遠慮がない。もしかして人類史上最も劣悪な環境なのではと思えるほど腐ったジャンキーの家庭や巣窟、そこからいかにカネを吸い上げるかというあくどいビジネス、子供を洗脳して殺人までさせる売人など、目を背けたくなる悲惨な世界を見せてくれます。


主人公ウォルターは貧乏だけど優秀な化学屋なので精製したブツも一級品。それを元に裏世界で名を成していくのでこれもある種のサクセスストーリーと見れなくもない。しかし爽快感などほとんどなく覚せい剤精製以外のことは失敗ばかりだし、緩慢でどんよりした気分になる話ばかりが続く。犯罪をウソでごまかしきれずに家族と揉めに揉めてこじれまくる。もう一人の主人公でもある相棒ピンクマンとも信頼関係があるんだかないんだか疑わしくなってくるほど毎回毎回罵倒し合ってばかり。極めてギスギスグダグダしたストレスフルな人間関係をウンザリするほど延々と見せられます。


なんかこう書くと何がそんなに楽しいんだかよく分からなくなってきます。少なくとも「24」のように引きが強すぎて一気見しないと苦しくなるほど暴力的な中毒性もスピード感もありません。しかし極限まで苦悩し選択を迫られ続け、人命などゴミのように扱われる麻薬の世界で綱渡りをするようにしぶとく生き延び、それでも破滅へ疾走しているとしか思えない彼らの生き様は目が離せなくなるものがありますね。そのうちシーズン5まで完走したらここにこっそり感想を追記しようかと思います。



21/9/6 追記


たった一週間でシーズン5まで完走+エルカミーノ(映画版)も観終わってしまいました。夜更かしが続いてさすがに疲れた。長いドラマはこれだから手を付けるのに躊躇するんだ…。シーズン5ならまだ短い方ではありますが。内容的にはシーズン4が一番面白くて、特にラストの衝撃は凄まじいものがありました。あんな強烈などんでん返しを見せられたのは久しぶり。しかし世間の評判が良かった最終シーズンは観ていて辛くなる胸糞悪い展開ばかりで、さすがにあそこまで行くとあまり「好き」とは言えないかも…。エルカミーノは冗長で蛇足っぽかったけど多少の救いがあり、全体的な後味が良くなったのはありがたかったです。


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