「コンティニュー」 感想 ゲームは良いものだ

概要

原題:Boss Level

製作:2021年アメリカ

配給:クロックワークス

監督:ジョー・カーナハン

出演:フランク・グリロ/メル・ギブソン/ナオミ・ワッツ/アナベル・ウォーリス/ケン・チョン/ミシェル・ヨー


元デルタフォースのロイはある朝目覚めた瞬間から次々と殺し屋に襲われる。だが、殺されてもまた同じ朝に戻るという死のループを繰り返していた。原因を探りループを抜け出すため試行錯誤していくうち、元妻の組織に原因があると判明するが…


予告編

感想



死んでは朝に戻り、死んでは朝に戻りと同じ1日を何度もループする系SFアクション。


最近こういうのがやたら多く感じます。「ハッピーデスデイ」とか「ブラッドパンチ」とか「ココディココダ」とか。ゲーム世代の映画製作者が増えてきたってことでしょうか。今はどうだかあまり詳しくありませんが、昔のゲームは何度も理不尽に殺されては敵の攻撃パターンを頑張って丸暗記してほんの少しずつ対処できるようになっていく…いわゆる覚えゲーが主流でした。本作もそれと同じようなノリで、起床した瞬間から次々と襲い来る様々な殺し屋に何度も何度も殺されながら攻撃パターンを覚えて対処できるようになっていくという話。



こういうループものの場合、死んでもペナルティがないと緊張感に欠けててどうしてもコメディチックになってしまう傾向があります。もう覚えてしまった敵は鼻歌交じりでよそ見しながら倒せるし、そうでない状況になれば多種多様な死に様で楽しませてくれる。本作は私が今まで観た中で一番首チョンパシーンの回数が多い映画でした。別にホラーでもないのに珍しい。



アーケードゲームだったら100円払って遊んでるわけなので「そう簡単に死んでたまるか!」という緊張感が常にあるし、それも先へ進めば進むほど「せっかくここまで来たのにまた最初からやり直すなんてごめんだ!絶対に死んでたまるか!!」としびれるようなプレッシャーを味わうことになるんですが、本作のロイは終盤になっても特に死をためらう様子がない。しくじっても「あーはいはいやり直すね」って感じなので緊張感に欠けていてスリルもくそもない。一度でいいから「ここだけは絶対負けられんぞ!」という戦闘が欲しかったかな。いくらやり直せるとはいえそう何回も首チョンパされるのはつらくないですか?



これはアケゲーで言えばフリープレイも同然のぬるま湯状態です。というか無限コンティニューできるんだから家庭用ゲームというべきか。残機無限だとしても「有野の挑戦」みたいにやり直すことの時間的精神的苦痛があればもっと緊張感が出てきそうなんですが。とはいえギブアップはできないわけだし、一歩間違えると死よりも恐ろしい永遠のハマり状態・無間地獄に陥る可能性もある状況なんですよね。もし私がロイの立場だったらそもそもアレに飛び移るジャンプ力がないのでまさにそうなりますね。そう考えるとロイの元妻もとんでもなくやばいことをしでかしたもんだなあと思いました。



仕事にばかり打ち込んで家族を顧みなかったロイがループの中で行き詰まり、無駄とも思える試行錯誤を繰り返してるうちに思いもよらぬところから活路を見出していくストーリーは何かと社会の目の敵にされがちなゲームが肯定的に表現されているようで好感が持てます。ロイが息子とストリートファイター2で遊ぶくだりもゲーマー的情緒にあふれる良いシーンでした。字幕でロイたちが波動拳のことを「アルゲン」「アルゲン」言ってたのはなんか引っかかりましたが。

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