「ザ・パージ:魔法少女狩り」 感想 未成年の魔女は魔法少女と呼んでいいのか

概要

原題:WITCH HUNT

製作:2021年アメリカ

発売:アルバトロス

監督:エル・キャラハン

出演:エリザベス・ミッチェル/アビゲイル・コーウェン/ギデオン・アドロン/ クリスチャン・カマルゴ


魔女を取り締まり、捕まった魔女は火あぶりで処刑される現代のアメリカ。クレアの家では、こっそり魔女を匿い、メキシコへ逃がす手助けをしていた。ある時クレアは年の近い魔女フィオナと出会う。だが、バーで魔法を使ったところを目撃され、ウィッチハンターの捜査網が迫ってくる。


予告編

感想




21世紀の現代アメリカでも未だに野蛮な魔女狩りが行われているという話。正直退屈すぎるし、特に光るものも感じられませんでした。にしても、これに「魔法少女狩り」だの「超過激」「エクストリーム・スリラー」だのと珍奇な副題、過剰な煽り文句をつけたうえ「パージ」シリーズのパチモン仕立てにしてしまうアルバトロス商法はさすがという他ない。たとえ地雷の予感がしても踏まざるを得ないんですからね。



それにしても出てくるのはほんとにただの「魔女」なのに、登場人物がティーンエイジャーだからと言って「魔法少女」と呼称するのは実に図太いというか何というか。漢字から受けるイメージ的には確かにワラサとブリのような関係性にも思えるけれども、実像を考えるとまるで連続性がないように思える。まあ魔法を使う少女には違いないので別に嘘ではないんでしょうが、ジャスティン・チャットウィンが孫悟空を名乗るのと同じくらいには違和感がありますね。



しかし、何で収容所送りにして火で炙るほど魔女…いや、魔法少女を厳しく取り締まらなければならないのかはいまいちわからない。その辺は現代アメリカでも中世ヨーロッパレベルの人種差別が蔓延っているとの風刺でしょうか。主役が魔女を匿う側の人間なので、基本魔女が悪事を働くことはない。魔女の悪行を訴える動画のシーンがありましたが、それは「魔女の運転する車と事故って私の家族が亡くなった。魔女から免許を没収する改正案に賛成票を投じましょう」というものでした。



交通事故なら魔女も魔法も別に関係ないじゃんとか、魔女だとバレたら収容所送り&火あぶりなのにわざわざ免許を取り上げる法律があったところで何の意味があんだよとか色々突っ込みたいところではあります。まあその人は「良い魔法なんて、ないんだから」などと仰っていたのでやっぱり坊主憎けりゃ袈裟まで憎い的な偏見や差別の風刺的な表現なのかと思いますが、ストレートすぎて何かもにょる。



何より魔法少女ハンターがそこまで恐ろしい存在に見えないし、魔法少女側にもそんなに応援したくなるほど肩入れできないので、結局のところ魔法少女たちが火あぶりにされようがアニメ化されようが別にどうでもいいかな…という感想しか出てきませんでした。あと、ジャンプスケア的演出が無駄に激しくて鬱陶しかったのも非常に大きなマイナス要素でしたね。


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