「Swallow/スワロウ」 感想 要らないものを取り込みたくなる衝動

概要

原題:Swallow

製作:2019年フランス・アメリカ

発売:クロックワークス

監督:カーロ・ミラベラ=デイヴィス

出演:ヘイリー・ベネット/オースティン・ストウェル/エリザベス・マーヴェル/デヴィッド・ラッシュ


ハンターは大金持ちの旦那と結婚し、豪邸で裕福な暮らしを送っていた。しかしその実態は、夫にも義父母にも蔑ろにされ、ただただ完璧な妻というお飾りを演じなければならない苦痛と孤独に苛まれる生活だった。そんな中、ハンターの妊娠が発覚するが、さらなるプレッシャーを感じた彼女はビー玉を呑み込んでしまう。その行為に充足感を覚えたハンターは、より危険なものを口にするようになっていく。


予告編

感想





「スリラー」に分類されていたというだけでろくにジャケットも見ずにレンタルしてみたら、なんかものすごいシリアスというかマジメな映画でした。普段全然見ないタイプの作品だけど、まあたまにはそういうのもいいか。



大金持ちの男と結婚した女性が、表面上は裕福で羨ましい生活を送りながらも、旦那や義父母の心ない仕打ちに死ぬほど抑圧されていて、妊娠したのをきっかけにビー玉やら画鋲やらを呑み込む異食症を発症してしまう…という話。



これ、本当に「スリラー」ってことでいいんですかね? 画鋲やら長いネジみたいな金属を呑み込むシーンは確かに怖いしスリリングと言えばスリリングですが、そのスリルを楽しむ映画かと言われると全然違うし。「一体どんなスゴイものを呑み込むんだろう!?」みたいな好奇心でこれをレンタルしてしまう人がいたりするんでしょうか。



旦那と義父母の心ない仕打ち、と言ってもそこまで分かりやすい嫁イビリ的なものではなく、絹のネクタイにアイロンかけないなんて常識だよねとかイヤミを言われたり、ディナー中に面白い話をしていたら遮られたりとか割りと細かいストレス描写を積み重ねてくるタイプ。「いい暮らしさせてやってるんだから、完璧な妻を演じなさい」と理想を強要されて、本当の自分なんか誰も見てないし興味もない。



これって結構万人が共感しやすいストレスですよね。夫にいい暮らしをさせてもらうにしろ、何らかの仕事で金を稼ぐにしろ、そのためには金を出してくれる人の求めるような人材でなければならない。「本当の自分」が好き勝手に振舞うような余地は存在せず、求められる形に自分を押し込めなければならない。



こういうストレスを受け続けると、自己肯定感は下がるし自分が何なのか分からなくなってしまう。そこで何か他人と著しく違うことをしてみると、自分はこんな(ある意味)凄いことも出来ちゃうんだという充足感を得られるようになる。実際の異食症はともかくハンターの場合はそれでガラス玉や画鋲なんかを呑み込みたくなったのではないかと思いました。



…しかしなんかそう考えながら観ていると、私が殊更クソ映画を好んで観てしまうのもおんなじようなアレなんじゃないか? と思えてきました。心の栄養にならんクソ映画なんて精神的にはマキビシ級の異物を呑み込んでるようなもんですからね。ある意味自傷行為に近いのではないか。世のクソ映画愛好家は本来「クソ映画愛好症」として精神科でベッドに縛り付けて電気ショックやロボトミー手術で治療すべき重症患者なのかもしれません。


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