「サマー・シャーク・アタック」 感想 きたねえ花火だ

概要

原題:SUMMER SHARK ATTACK/Ozark Sharks

製作:2016年アメリカ

発売:アマゾンプライムビデオ

監督:ミスティ・タリ―

出演:アリソン・アシュリー・アーム/デイヴ・デイヴィス/トーマス・フランシス・マーフィ/マイケル・パパジョン/ロス・ブリッツ


ミズーリ州オザークの湖へ遊びに来た一家。そこで花火大会が催されようとしていた。だが、その湖にはなぜかオオメジロザメの群れがやってきていた。おばあさんを喰われてしまったハリソンたちは、地元のじいさんと共に武器を取りサメと戦う。


予告編

感想




なんと珍しいことにアマプラで新作サメ映画が配信されていました。これは素晴らしい。世界にはまだまだ日本に侵入ってきていない有象無象のサメ映画が腐るほどあるはずなので、これを機にどんどん配信してもらいたいものです。



内容は、アメリカ南部の湖にオオメジロザメが現れ、花火大会にやってきた観光客をモリモリ喰らうという話。いやーめちゃくちゃありがちですね。ここまでベタなやつも近年ではかなり珍しいかも。まるで祖母の焼いたクッキーのような安らぎを感じます。一昔前のアメリカ産サメ映画は本当にこんなんばっかりでしたからね。「フライング・ジョーズ」とか「レッドウォーター サメ地獄」とか「シャーク・ショック」とか「シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄」とかあのへん。むしろサメはアメリカじゃ湖や川に出る生き物なんだよと言っても嘘ではないくらいの粗製乱造ぶりでした。広いアメリカじゃ海に行くのも面倒だし手近な湖で済ませたくなるのも分かります。デビシャ・ジュラシャ・ロスジョなんかも当然全部湖です。



監督のミスティ・タリーなる人物は聞くところによるとあのグリフ・ファーストの弟子らしいですね。まさかあんなダメダメなポンコツ映画ばっかり撮りまくってる超絶ボンクラ迷監督のグリフ・ファースト御大なんぞに師事するような物好きがいたとは驚きです。しかも女性監督ときた。世の中分からんもんですなあ。しかし、本作を観る限りでは師匠の作風を忠実に受け継いでいるようです。サメ映画監督にしては変に真面目な奴だなという印象。ただ、全体的なクオリティは師匠よりも上を行ってますね。ありがちな内容ながらもサメ映画としては確実に平均点以上であり、普通にゲボハハハと楽しめます。まあ、グリフ・ファースト監督作よりダメな映画を撮れと言っても逆に至難の業かもしれません。



本作は何と言っても登場人物にイヤな奴が一人もおらず、人間関係によけいなストレスが全くないのが良い。おおらかで性格の良いキャラばかりなので観ていて実に快適です。しかもサメは序盤からバンバン姿を見せてガンガン襲ってきてくれる(21世紀のテレビ映画とは思えないCGのヘボさにはこの際目をつぶりましょう)。もうこれだけでサメ映画としては80点くらいは付けられます。あくまでサメ映画としてはですがね。



平均的なサメ映画の場合、クソ野郎共が織り成す不愉快な人間模様だけが延々続いてサメなんぞほとんど出てこないのが標準なので、そこから見ると本作はめちゃくちゃサービス精神旺盛な方なんです。なんと驚くべきことに「ディープ・ブルー」の例のシーンのパロディも上手くいってる。これ地味にサメ映画としては初めての快挙なんじゃないか。



地味は地味だけど、サメと花火という組み合わせもなかなか乙なもんですね。特にラストシーンは観た人誰もが「きたねえ花火だ…」とつぶやかずにはおれない名場面でしょう。ミスティ・タリー監督には今後もどんどんサメ映画を撮っていただきたいものですね。というか今調べてみたら「ゾンビシャーク 感染鮫」もこの人でした。他には「サンタ・ジョーズ」なんて珍品もあるみたいですが、これはさすがに日本に入ってきそうもないかな…


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