「モータルコンバット(2021)」 感想 懐かしの究極神拳

概要

原題:MOTAL KOMBAT

製作:2021年アメリカ

配給:ワーナー・ブラザース

監督:サイモン・マッコイド

出演:ルイス・タン/ジェシカ・マクナミー/ジョシュ・ローソン/浅野忠信/メカッド・ブルックス/ルディ・リン/マックス・ハン/チン・ハン/ジョー・タスリム/真田広之


総合格闘技の選手コールはなかなか試合に勝てず冴えない日々を送っていた。だが、ある時「サブゼロ」という謎のニンジャに襲われ、自分が人間界を代表して魔界の戦士と戦う運命にあることを知る。それは「モータルコンバット」と呼ばれる武術大会で、これまで魔界に9連敗しており、あと1敗すると人間界は魔界に永遠に支配されてしまうと言うのだ…



予告編

感想




アメリカ産格闘ゲームの実写映画。

なんだか大作っぽい雰囲気で全国で劇場公開されてますけど、日本における「モータルコンバット」ってそんなに知名度の高いゲームでしたっけ?



確か私が中学生ぐらいの頃にスーパーファミコン版が発売されて友人たちの間で話題になったのは薄っすら覚えてるんですよね。キャラクターのグラフィックが実写取り込みでリアルなうえに「フェイタリティ(和訳:究極神拳)」という超必殺技で相手に止めを刺すと、首チョンパできたり縦にも横にも真っ二つにできたり脊髄ぶっこ抜いたりと過剰なまでに残虐な演出がある。…と雑誌に載っていたのです。これが当時のゲーム小僧には大変刺激が強く、「ぜひ見てみたい!」と思わせるには充分なインパクトと話題性がありました。まあ私は買いませんでしたが、友人の誰かが買ってたのでそれで遊んだような記憶があります。



ただ実際にプレイしてみると対戦ツールとしては粗削りすぎてあまり真面目にやる気も起きず、ただフェイタリティを出してグロ画像を楽しむだけの一発ネタゲーで終わってしまいました。完全にキワモノ扱い。実写取り込みのキャラクターも東洋風でありながら異様にバタ臭くてお笑い系の人たちにしか見えず、その後このシリーズがアメリカではミリオンヒットするぐらいには大人気だと聞いて「毛唐共のセンスはワケ分らんな…」と思ったのが私の記憶の中にある「モータルコンバット」というゲームです。



…で、この映画版の話ですが、オープニングで「ハサシ・ハンゾウ」なる日本人ニンジャが重要人物として出てくるんですよね。「ハサシ」ってどういう漢字なの?というツッコミはさておき、演じているのが真田広之なのでモータルコンバットのくせに実にマトモでかっこいいニンジャアクションが拝めます。というか今まで観たアメリカ映画で最も扱いの良い日本人キャラクターじゃなかろうか。クライマックスでも主人公コールを差し置いておいしいところをもっていってしまうので、実質真田広之が主人公みたいなもんです。ただ同時に中国ニンジャ軍団も出てくるので結局未だに区別ついてないんかなと心配になりましたが、日本語と中国語をちゃんと使い分けてたのでその辺も大丈夫そうです。



ストーリーは「武術大会で魔界に9連敗中で後がない人間界が、次こそ勝つために戦士を集めて修業する」というもの。モータルコンバットってそういう話だったのか…と初めて知りました。しかし結局本編中で武術大会が開かれることはなかったのがなんか物足りない。大会は続編に持ち越しですかね。魔界は9連勝もしているんだからさぞかし余裕なのかと思いきや「次回は負ける」という予言があるのをすごく気にしていて、サブゼロという冷気を操るニンジャを人間界に送り込んで戦士を抹殺しようと企んでいるっていう。



このサブゼロってのもゲームでは一番人気のキャラクターらしいんですが、ゲームで見た時は「なんだこの異様にダサいキャラは」としか思えず、一体何がそんなにウケているのか実に不思議でした。この映画版は昔のゲームとは全然違うコスチュームなのでまだましですが、それでもやっぱダサイ。ただ演じているのが「ザ・レイド」のSWAT隊長役の人で驚きました。インドネシアからハリウッド大作でこんな目立つ役を得るとは実に出世したもんですなあ。素晴らしい。



ストーリーは駆け足だし世界観は魔界だのレプティリアンだの何だのとよく分からんのですが、アクションシーンは充実していて結構楽しめました。「フェイタリティ」っぽい残虐グロ奥義もバッチリ決まってます。これぞ究極神拳(笑)ですよ。欲を言えば脊髄ぶっこ抜きも見せてほしいところでしたが、それをやるとR18になってしまうからダメなのかな。



気になったのは主人公のコールという総合格闘家がめちゃくちゃ弱いことで、まあ最初は弱くても選ばれた戦士なのだし奥義に目覚めれば強くなるのだろう…と思って観てたら最後までいまいち弱いままだったのはどうかと思いましたね。いや、妻子のピンチでなんかヨロイとトンファーを具現化する能力に目覚めてくれるので、その後クライマックスでサブゼロとの一騎打ちで活躍するのだろうと思ってたんですが。しかしそこに復活したハンゾウが割り込んでくるので、コールは脇で援護してるだけのような扱い。これなら別にコールという存在は必要なかったのではないか。ゲームにもいない映画オリジナルキャラみたいだし。



本作がそこそこ楽しめたのでゲームも久々にやってみようかなと思ったんですが、どうも現行機種では国内ローカライズされていないようですね。せっかく実写映画が公開されているというのに実にもったいない。まあ映画共々今後の展開に期待しておくとします。


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