「彼女の秘密」 感想 奔放とキチ〇イは紙一重

概要

原題:Et mon coeur transparent

製作:2018年おフランス

発売:アマゾンプライムビデオ

監督:デイビット・ヴィタル・ドゥランド/ラファエル・ヴィタル・ドゥランド

出演:ジュリアン・ボワッスリエ/カテリーナ・ムリーノ/セルジュ・リアブキン/サラ・ジロドー/マガリ・ベルディ


ランスロットは散歩中偶然出会った奔放な女性イリーナと結婚。ある時、イリーナは仕事で飛行機に乗り込むが、その後なぜか隣人の車に乗った状態で湖に落ちて死亡してしまう。ランスロットはイリーナのことを何も知らなかったことに気づき、死因を探っていく。


予告編

感想




アマゾンプライムでひっそり配信されていたわけわからんおフランス製謎映画。

本作は「アマプラゴミ映画沼で悶絶する河童」ことJetさんからリクエストいただきました。どうもありがとうございます。私も相当コアでディープなアマプラユーザーだと自負しているのですが、「ブラッディモンスター」と言い本作と言いJetさんチョイスの謎映画はちょっとレベルが違いますね。こんなんアマプラユーザーの99.9999%がガンスルーしてますよ多分。



…で、内容ですが、一応分類的にはサスペンスになるっぽい雰囲気を感じなくもない気がします。なぜこう曖昧な言い方になるのかというと、本作はいかにも詩的文芸的でフワフワしたムードに包まれており、端的に言ってわけ分からんからです。いや、そこまで不親切でもなさそうなんですが、いかんせん気怠くて集中しにくい。そこに美しい景色と常時暗い顔をした俳優の物憂げな演技を加えることで、何とな~くお上品かつ難解ないけ好かない雰囲気を醸造。ただ上品なだけではなく主人公の妻イリーナのキチゲェ的発言といった毒っ気がほどほどにちりばめられ、これはいかにも典型的おフランス謎映画としか言いようのない仕上がり。こういうの苦手なんだよお…。



その名前とは裏腹に、異様に大人しくて無気力なモヤシ系中年男ランスロットは歩いている時に飛んできた靴がきっかけで出会った奔放な女性イリーナといきなり結婚します。このオープニングの時点で何でそうなるのか理解不能なため結構しんどいものがあります。また「奔放な女性」と言ったものの、「ちょっと隣家に行ってくるわ」と出て行って5時間後に帰ってきて「ずっと隣家でヤってたの」なんてにこやかに報告する妻なんて相当ヤバめのビッチにしか見えないんですが、ランスロットは何も咎めないので超先進国おフランスではそういう少子化対策でも励行されてるのかな…とか思ってしまいそうになります。



そんなイリーナが謎の怪死を遂げ、さてその真相は…というサスペンスが一応物語の主軸っぽいような気はします。あくまで気がするだけです。たまに刑事から電話が来てるしな。で、イリーナは内緒で家を買おうとしていたことが判明し、ランスロットがその家を見に行ったら地面に大穴があいて家が消失していた…というシーンは意外にもサスペンス的に興味を惹かれるところではありました。イリーナは奔放でありながら環境問題についてはうるさい面もあったというのが伏線だったようで。とはいえ怪死も家消失の真相も特に興奮するほどすごいものでもなく「ああ、そうなん…」程度にしか感じなかったので、やっぱりサスペンスというよりはちょっと変な男女関係の感情の機微を読み取って愉しむべき文芸映画だったのかなと思いました。




2021/9/5 追記(ネタバレ)



「この映画は結局どういうことなの?理解できないから教えてほしい」とSNSで聞かれたのでここにも私の解釈を記しておきます。観たのが2か月以上前でうろ覚えだし間違ってるかもしれませんが、一応ね。

イリーナの死後、彼女について調べ始めたランスロット。その結果、イリーナは二重生活者で、裏の顔は爆弾を使うほどの過激な環境活動家の一員だったと判明する。そして彼女の死因は有害物質(二酸化マンガン)入りの口紅だったことから、彼女の仲間が口紅の工場を爆破。それを知ったランスロットは環境活動家の仲間になる。


そんな複雑な話でもなさそうなのにこれだけ分かりにくい作品にしてしまうフランス映画界はやっぱり苦手だなあ…

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