「ブラッディモンスター」 感想 あなたの肉が必要です。

概要

原題:BLOODY MONSTER

製作:2013年オーストリア

発売:アマゾンプライムビデオ

監督:マーカス・ヴィンバーガー

出演:ピーター・ホワイト/フランシス・レーン/マーク・バーガー/アグネス・ベルナウアー


ロシアで超人兵士の研究をしていたマッドサイエンティスト・アブラモビッチ博士がいました。彼は今チェコの森に潜み、次々と怪物を生み出していました。エージェント・レンコが部隊を率いて彼らを処分しにきました。そこにはバカな若者グループも来ていました。彼らはアブラモビッチ博士の怪物軍団に喰われていきます。


予告編

感想





げに珍しきオーストリア製のZ級スプラッター映画。アマゾンプライム配信。

本作は「アマプラゴミ映画沼で悶絶している河童」ことjetさんに教えていただきました。どうもありがとうごさいます。



先日、アマゾンがMGMを84億5000ドルで買収し、プライムビデオを強化していくというニュースが流れました。アマプラのヘビーユーザーとしては喜ぶべきことなんでしょうが、アマゾンは今でも独禁法で散々提訴されてるのにまたこんな巨額の買収なんかして大丈夫なんでしょうか? プライムビデオにリキを入れるのも結構ですが、値上げされそうでちょっと怖いんですよね。月額500円で有象無象のクソ映画観放題というのがアマプラ最大のメリットですから。ネットフリックスがやってるような、賞レースに勝てるような一流作品などアマプラには別に求めていないんです。



その点、この作品は素晴らしい。よっぽどのジャンク映画マニアでもなければ、間違いなく誰も興味を持たない超ジャンク映画です。オーストリア製で舞台がチェコというのも物珍しくて良い。こういう得体の知れない変なのを配信してこそのアマゾンプライムなんです。



とはいえ内容自体は非常に凡庸で、人喰いモンスター軍団を製造しているマッドサイエンティストがチェコの森に潜んでおり、そいつらを退治しにマッチョなエージェント部隊がやってきて、ついでにそこでキャンプしていた若者グループが景気よく巻き込まれるといったお話。類似作としてパッと思いつくのはやはり「武器人間」ですかね。



人喰いモンスターは顔色の悪いジェイソンみたいな風体でゴーグルとマスクをしており、ナタかチェーンソーで切り刻んでくるタイプのキャラクター。エネルギー源は人間の肉です。Z級クオリティではありますが、ゴア描写はまあまあそこそこ。



なかなか味わい深いZ級スプラッター映画ですが、さらに機械翻訳の字幕が珍作っぷりに激しく拍車をかけています。人喰いモンスターも「あなたの肉が必要です」とか「今、私はあなたを虐殺します」とか言って襲って来たりします。なんでこんなテキトーな字幕で配信できちゃうんですかね。プライムビデオのビジネスモデルは実に難解です。


他には例えば、若い男二人組が連れの女の子を見ての会話。



「この熱いお尻を見てください。」


「私は彼女の背中にこのひよこを乗せなければなりません。」



ひよことは一体何の隠語なんでしょうか?


また、彼らがガソリンスタンドで別の若い女の子に声をかけたら連れの男と喧嘩になるシーンがあり、その時の会話がこんな感じです。



「ねえ、私の女の子と話すのをやめて、親切に性交してください。」

「ねえ、彼女があなたのガールフレンドとは知りませんでした。」


「落ち着いてね。」

「落ち着いていきます。」


「あなたの太ったお尻をあなたの自転車に載せて、あなたの女の子を掴んで、離陸してください。」



また、主人公は政府に雇われた軍人だかエージェントのレンコ少佐で、その部下はチェチェン作戦に参加したキレンコ軍曹です。レンコだのキレンコだの実に紛らわしいですね。しかも字幕だとたびたび練行とか練行足とか出たりするので余計ワケが分かりません。練行は分かるけど足って何だ?


そんなレンコキレンコ部隊が人喰いモンスターとファーストコンタクトした直後の会話がまた謎に満ちています。



「何人かの攻撃者がいたと思います。」

「心配しないでください。ろくでなしを取得します。」

「私たちはそれらのファッカーからたわごとを蹴り出します。」



ろくでなしを取得するとは一体どういうことなのか。援軍を呼ぶってことなのか? でも誰も来なかったしなあ。全体的にやたらと多用される「たわごと」も使い道が多岐に渡りすぎて解読に一苦労です。


レンコキレンコ部隊のメンバーは言葉遣いが下品な荒くれ者集団だというのは何となく伝わってくるのですが、機械翻訳がそれに反してビジネス調なのが何だか笑えます。



「ねえ、あなたはあなたが上司だと思いますか?」


「そうです、メス犬。練行足がいないときは私が指揮を執っています。あなたは猫です。」



メス犬なのかメス猫なのかどっちなんだ。


また、レンコキレンコ部隊が人喰いモンスターとどう戦うか、その作戦をレンコ少佐が部下に指示するシーンがこれ。



レンコ「エリアを分割してコーミングします。そうすれば少なくとも彼らは私たち全員を一度に閉じ込めることはできません。」


部下「それはあなたのお尻です。」



レンコの指示はまあ分からんこともないのに、それに対する部下の返答が意味不明にもほどがある。それとも「そんな作戦テメーのケツ並みに使えねーよ」っていう意味の返答なの?



…ということであまりオススメとは言えない超マニア向け作品ですが、まあ、せっかくアマゾンプライムに入っているのならたまにこういう珍品ジャンク映画に触れてみるのも一興ではないでしょうか。

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