「コリアタウン殺人事件」 感想 非常にリアルだが娯楽性も捨てていない

概要

原題:Murder Death Koreatown

製作:2020年アメリカ?

発売:アマゾンプライムビデオ

監督:わからん

出演:わからん


ロサンゼルスのコリアタウンで妻が夫を刺殺する事件が発生。隣に住んでいた無職の男は独自に調査を開始するが、次第に精神に異常をきたしていく。


予告編

感想



スタッフもキャストも何もかも正体不明で、突如アマゾンプライムに現れた謎のファウンドフッテージとして夏ごろにちょっと話題になっていた作品。私はファウンドフッテージというかPOV全般が大の苦手だし、韓国映画もあまり趣味ではないのでスルーしていましたが、よく考えると韓国にコリアタウンがあるわけないですね。で、私が最近アマプラのクズホラーで苦しんでいたところを見かねたフォロワーさんからオススメされたので今更ながら鑑賞してみました。



ロサンゼルスのコリアタウンで発生した殺人事件を、ヒマな無職の男がスマホで撮影しながら独自に調査していくという話。最初は「他にやることないからやってみる」「もう諦めて就職活動しようかな」などといかにも軽いノリで、調査と言っても行き当たりばったりで通行人に意味もなく話を聞くぐらいしかできていない。それ以前にこの事件の詳細が語られることもないから初っ端からついて行きづらく、手ブレの極悪さも相まって異常に素人臭い。まあそれがファウンドフッテージなんだよと言えばそうなんですが、本作の素人臭さは類似作の中でも際立っており、非常にリアルっちゃリアルです。観ててものすごい酔うけど。



で、この無職の男が何やかんや殺人事件の真相に迫っていくのかなあと思って観てると全然違う方向にブラブラ歩いていくわけです。その辺に落書きされたハングルの文章に重大な意味があると考えたり、占い師を頼ってみたり、被害者からのメッセージを勝手に夢に見たり。この事件が単なる殺人事件ではないのか、それとも彼が無職だからなのか、どんどん統合失調症気味に病んでいきます。


これは一人の無職が精神を病んでいく過程そのものを愉しむ悪趣味ホラーとも言えそうですね。殺人事件自体は妻が夫を刺殺しただけみたいなのでそんなに人を狂わす何かがあるとも思えず、やっぱり無職状態が精神に良くないのかなあ…などと考えてしまいました。私も突発的に会社を辞めたくなることが稀によくあるんですがね。無職って人生楽しそうでうらやましいなあと…そうでもないのかな…



排水溝から謎の声が聞こえるシーンは実に不可解です。本作はあくまで無職の男がスマホで撮ってる映像であり、劇映画ではないのになんでそんな謎の音声が入ってしまっているのか。オカルト現象を信じている人なら怖い場面なのかも?

ついでに言うとBGMもしっかり入ってます。さらにクライマックスでは意外とレベルの高い恐怖演出シーンが入っており、予想外に楽しませてもらえたものの、そのサービス精神のせいでリアル感はかなり損なわれたとも言えます。


ただ、個人的には「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」みたいに娯楽性が一切ないファウンドフッテージは何がいいのかさっぱり分からんのでこの終盤のホラー演出はありがたいものでした。こういうのはリアルであればあるほどいいんだろうけど、あまりやりすぎるとこっちはただ手ブレで酔ってゲボ吐いてるだけで終わってしまうので…



「ブレア・ウィッチ~」もそうですが、本作もアメリカでは公開前から色々巧妙なプロモーションを仕掛けていたようで、この殺人事件は実際に起きたことだったり、掲示板に怪情報が記されていたりということがあったとか。そういうのにリアルタイムで参加して「これは本物だ」と思い込んで鑑賞できた人がうらやましいですね。まあ、本作は何も知らない人でも楽しめるように気を使って作られていた方だと思いますが。



あと、「プライムに突然現れた謎の映画」というのも本作の話題性を高めた要因なんですが、普段からプライムの魔窟に漬かってる身としてはそんなん今に始まったことじゃなく大量にありますよと言っておきたい。大体ひと月かふた月に1回くらいは何の前触れもなくモリモリと謎のインディーズホラー、Z級ホラーが追加されますからね。その大半が本作のように話題に上ることも無く、せいぜいレビューが一つか二つ付くだけでほとんど誰からも顧みられることなく道端の犬の糞のように映画史の中に埋もれ、抹消されていくんです…。それらのことを思うと、本作は色んな意味で実にうまくやった作品だなあと感心しました。


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