「マッド・ハウス」 感想 アパート決めはギャンブルも同然

概要

原題:1BR

製作:2020年アメリカ

発売:ハーク

監督:デイビット・マルモール 

出演:ナオミ・グロスマン/ジャイルズ・マッシー/アラン・ブルーメンフェルド/テイラー・ニコルズ/アンドレア・ガブリエル 


複雑な家庭からLAに逃げてきたサラは、法律事務所の仕事と新しいアパートを見つける。アパートの住人はみな親切で、理想的新生活をスタートできたはずだった。だが、そこは住民を洗脳し服従させる恐るべきカルト集団の巣窟だった。


予告編

感想



新しいアパートに引っ越したら、そこはカルト集団の巣窟だったという話。

しかも実在のカルト集団をモデルにしているそうです。



これは今まで転勤やら何やらで7回も引越ししている私にとって他人事ではありません。はっきりいってアパート・マンション決めはギャンブルも同然なんです。設備、周辺環境、騒音の有無、近隣住人の民度…調べなけれならないポイントはあまりにも多く、たった1回や2回の下見ではその物件の本性を知ることなど到底不可能なのです。かといって5回も6回も覗きに行ってたらただの変質者だし、遠方なら物理的にも難しく、最終的には勘と経験でエイヤッと決めてしまうしかない。



信頼できる不動産屋を知っていれば当たり物件を引く可能性は上がりますが、少なくとも業界大手の会社にはまずそんな素晴らしい営業マンなどいません。除菌代をせしめておいて何もせずに除菌スプレーを溜め込み、大爆発を起こしたあの事件はまだ記憶に新しいことでしょう。ちなみに私は当時あの爆発音を直接耳にして戦慄。大手不動産業者のずさんさがド派手に露呈した歴史的珍事でした。



私も引っ越したアパートでろくでもない目にあった経験は一度や二度ではありません。壁が薄すぎて生活音が丸聞こえといったありがちなものから、プロパンガス代が異常に高いのにガスストーブしかないとか、あるいはそれこそ本作のように配管から謎の音が夜な夜な鳴り響くなど様々です。



中でも最悪中の最悪だったのが、そのアパート自体は問題なかったのに隣に生活保護者専用のボロアパートがあって、その中にとある女性をストーキングしている変態ヤクザが住んでいたところです。私自身は別にストーキングされてたわけじゃなかったのに、その女性と同じアパートに住んでるっていうだけで散々な目に遭わされました。ガスの配管を斬られて消防車がやってきたり、車のタイヤをパンクさせられたり。しかも何食わぬ顔で同情的に話しかけてくるというおまけつき。最初は良い人だと思ってたのに聞き込み調査の結果犯人がそいつだと判明した時は心底ゾッとしました。



とはいえ、本作のようにアパートの住人全員がいかれたカルト集団だった!という経験はまだありません。する予定もないけど。しかし、さすがにそこまでアレな物件は下見の段階で見抜かなきゃいけないと思うんですよね。本作に出てくるアパートでは住民同士の仲が妙に良くてしょっちゅうパーティを開いている様子。


そこら辺がフレンドリーな人たちでいいなと感じるか、厄介だと感じるかは人それぞれですが、私などはうまく溶け込めなかった時のことを考えて敬遠しそうな物件です。本作の主人公サラはパリピなのかそこを気に入って入居してしまうわけですが、ペット禁止なのに内緒でネコを持ち込むあたり賃貸選びをナメているようです。



しかしそのネコをオーブンで焼き殺されてしまうくだりはネコ好きにとってはトラウマものの悪夢的描写でした。私はネコ派ではなく鳥派なので何とか耐えられましたが、もしあれがネコじゃなくてインコだったら観るのを止めていたでしょう。


その後サラが監禁され、アメとムチを駆使してじっくり洗脳されていく描写もなかなかきつい。洗脳が完了して仲間になった後も勝手にパートナーをあてがわれるなど本人の自由意志などまるで存在しないカルト的服従生活。たかが物件選び一つ間違えただけでここまで酷い目に遭わされるのかと空恐ろしくなってきます。


「物件選びは慎重に」私にとっては今更ですが、改めてそんな教訓を得られる、そこそこ良く出来た洗脳スリラーでした。


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