「タイムリミット 見知らぬ影」 感想 警察の無能ぶりが際立つサスペンス

概要

原題:Steig. Nicht. Aus!
製作:2018年ドイツ
発売:ブロードウェイ
監督:クリスティアン・アルバルト
出演:ヴォータン・ヴィルケ・メーリング/ノラ・ウエッツ/ジャスミナ・アル・ジハイリ/クリスティアーネ・パウル/ファーリ・ヤルディム

不動産会社幹部のカールは子供2人を乗せて車を走らせていたところ、不審な電話を受ける。それは、立つと座席にセットした爆弾が爆発するぞ金を用意しろという脅迫電話だった。犯人に言われるがままに金策に走るカールだったが、息子マリウスが重傷を負ってしまい…

予告編


感想





「暴走車 ランナウェイ・カー」というスペイン映画のドイツ版リメイク。監督は遠隔解剖映画「カット/オフ」の人。スペイン映画は他の国にリメイクされることが多い気がするけど何ででしょうね。最近だと「インビジブル・ウィットネス」とかもそうでした。どっちもオリジナルを観れてないのがちょっと気にかかるなあ。



子供2人を乗せて車を走らせていた不動産会社幹部のカール。気が付くとダッシュボードに入っていた知らないスマホが鳴っており、それに出ると「座席に爆弾を仕掛けた、死にたくなければ金を用意しろ」と脅迫され…というサスペンス。

席を立つと爆発する爆弾ってよくありそうで意外と見た事がない。それだけでなく犯人に見張られておりいつでも遠隔操作で爆破されてしまいかねない、車から絶対降りることが出来ない状況。

こうなるとカールはもはや犯人の言いなりになるしかなく、会社や妻にウソをついてでも金を用意するしかない。しかも脅迫されてるのに「人のせいにしないでよ!」などと子供には理不尽に責められるし、妻は不倫してるうえにその不倫相手がろくでもない行動に出るわと観ててかなりストレスを感じます。極限状況なのに周囲に足を引っ張るやつしかいない。


犯人には相当恨まれてるようだしカールはよっぽど人徳の無いクソ野郎だったんだろうなと思いますが、作中で描かれてる分だけだと普通にいい人にしか見えないのでひどくかわいそうになってきます。最初は大豪邸に住んでおベンツに乗ってやがるブルジョワなんか痛い目見ればいいんだ…とか思ってたんですが、まさかあそこまで酷い目に遭わされるとはさすがに予想外。

さらにやってきた警察までもが異常に無能で、カールが脅迫されてることなど考えもせずにカールを加害者と決めつけ、射殺しようとスナイパーを配備するという無茶苦茶な展開。もはや無能を通り越して「なんか知らんけど面倒だから射殺して終わらせよう」という邪悪な意志しか感じない。それだけじゃなく妻から何の聴取もしないわ、兄じゃない奴を確認もせず兄だと思い込んで説得に行かせるわと色々ひどすぎる。

っていうか警察があんな無能じゃなければ犯人がノコノコ出てきた時点で終わってましたね。悪者と無能に隙無く囲まれたカールの追い詰められっぷりが半端ではありません。カールが今まで見て見ぬふりをしてきたせいで因果応報な目にあってるにせよやりすぎ感がある。もう諦めた方がいいよとアドバイスしたくなるくらい八方塞がりな状況。私だったらとっくにブチ切れて立ち上がり爆発してます。

そんな絶望的状況から一体どうやって逆転するのかな…とイライラハラハラしながら観てましたが、オチはさすがにちょっと強引かなと思える幕引きでした。妻が普通に許されてるのも気になる。とはいえかなり出来は良いと思うし観て損はない作品かと思います。

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