「ネバー・ダイ」 感想 臓器売買業者の恐怖

概要


原題:WE WILL NOT DIE TONIGHT
製作:2018年フィリピン
発売:ミッドシップ
監督:リチャード・V・サムズ
出演:エリッチ・ゴンザレス/アレックス・メディナ/ソウ・レイエス/マックス・アイゲンマン/パオロ・パライソ

クレイは父の高額な医療費を稼ぐためスタントウーマンをやっていたが、思うような金にならず貧困に苦しんでいた。そんな時、旧友たちがうまい仕事の話を持ってくる。だが行ってみるとそれは臓器売買のためにストリートチルドレンを誘拐しろというものだった。

予告編


感想





多分「ザ・レイド」的なものを目指したのであろうフィリピン産のアクション映画。


スタントウーマンをやってるけど全然稼げないクレイが、旧友に「割のいい仕事がある」と誘われてホイホイついていったら子供の臓器売買業者だったという恐ろしすぎる話。
せいぜい麻薬の運搬ぐらいだと思っていたクレイたちは当然お断りするが、秘密を知られた業者たちは帰すわけにはいかんと襲い掛かってくる。

東南アジアとか南米の映画を観るといつも思いますが、治安の悪さがリアルに感じられて怖いんですよ。南米だと人身売買組織が定番だけど、フィリピンだと臓器売買組織になるのか。しかも子供の臓器っていうんだからタチが悪すぎる。いくらフィクションの悪役とはいえその国のイメージも悪化しちゃいますよ。それも日常の薄皮一枚下に隠れているだけの非常に身近な存在に感じられるのがアレだ。これもうホラー映画にした方がいいと思う。

しかし本作は別に臓器売買やストリートチルドレンの闇を社会問題として扱うような映画では全くなく、単にマチェーテを持ってワーワー襲ってくる単細胞な臓器売買業者どもとクレイたち5人が廃墟でボコスカやり合うだけのストーリーもくそもないアクションに特化した内容です。臓器売買業者はそりゃ恐ろしいけど別に戦闘力が高いわけじゃなかろうしアクション映画の敵役としては何か微妙。


で、そこまでアクションに特化しているわりにはそのアクションの出来がいまいちよろしくない。カット割りを細かく目まぐるしくすることで良く見せようとしてるが、全然良く見えない。こういう映画で主人公を女性にするのは結構リスクが大きいと思うんですよね。マチェーテを持って襲ってくる男たちをばったばったとなぎ倒しても違和感がないほど説得力のある強さを見せられる女性は滅多にいません。それにアクション映画ファンはジージャーとかジーナ・カラーノのような物凄い人を見てしまっているので、どうしてもあれくらいのレベルと比較してしまいます。

そこへいくと本作のクレイはスタントの仕事をしているわりには線が細すぎて明らかに筋肉不足だし、パンチや蹴りにも威力が全然なさそう。それをごまかすためにカット割りだけは細かくごちゃごちゃしていて爽快感がない。顔はいいけど、顔で戦うわけじゃないし。そんなグダグダした格闘シーンを1時間20分も延々と見せられるのがだるい映画でした。やっぱりこれ臓器売買業者に追われる恐怖をテーマに据えてホラー映画にした方が良かったんじゃないかと思います。


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