「インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者」 感想 これはいいどんでん返し

概要

原題:Il testimone invisibile
製作:2018年イタリア
発売:インターフィルム
監督: ステファノ・モルディーニ
出演: リッカルド・スカマルチョ/ミリアム・レオーネ/マリア・パイアート/ファブリオツイオ・ベンテイヴァリオ

愛人の殺人容疑をかけられた実業家のドリア。絶対的に不利な状況だったが、それでも彼は無罪を勝ち取るため、敗北を知らない無敵の辣腕弁護士フェラーラを雇う。ドリアから事件の経緯を聞き取るフェラーラ。しかし彼女はドリアの供述に嘘が混じっていると気づく。

予告編




感想


「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」というスペイン映画のリメイク。ということを知らずに観てしまいました。スペイン映画をイタリアがリメイクするとは珍しい。



愛人の殺人容疑で捕まり、破滅の危機に瀕している実業家ドリアが敗訴知らずの弁護士フェラーラに事件の概要を語るという一見古臭いサスペンス。殺人事件の内容そのものは実にありきたりで地味な話なんですが、仕込まれたトリックは大胆かつ巧妙。古典的な「密室殺人」だの「信頼できない語り手」を使った目くらましに翻弄されてまんまと騙されてしまいました。伏線にはしっかり気付いていたのに、完全に予想外の角度から一杯喰らわされてしまった。こんな気持ち良いどんでん返しは久しぶりです。

私はミステリーのネタはもう枯渇してると思っており、その手の小説も映画もほとんど見なくなって久しいんですが、既存のネタもこういう組み合わせ方をするとまただいぶ違って見えていいもんですね。


ドリアが殺人容疑を晴らすためには、隠しておいた別の罪を告白する必要がある。しかしそれをそのまましゃべりたくはない。ドリアは経緯を改竄して語り、フェラーラは無罪を勝ち取りたければ自分には真実を話せと迫る。

事件そのものは単純とはいえ、この駆け引きには見応えがあります。「信頼できない語り手」ネタの叙述トリックは卑怯臭くて好きじゃないんですが、本作はそれを叙述トリックではなく人物描写兼ミスリードに使っているところが実に一石二鳥。ドリアとフェラーラの心理戦でもあると考えれば一石三鳥か。しかも真実は伏せられているのではなく、分かる人にはちゃんと分かるようになっている。方向性は違うけど「サスペリア2」の鏡トリックに近いフェアプレー精神が感じられますね。

ドリアは愛人を殺していようがいまいが犯罪者であることに変わりなく、実業家としては既に詰んでいるように見える。どんだけごまかそうとしても警察や世間の目を欺けそうもない。しかし、ドリアにはその詰みすら覆しかねない金と権力がある。引退しようとしていた無敗の弁護士フェラーラを雇えたのもその一つ。
となると、一体誰が彼に裁きを下すのか。ミステリー的な仕掛けも全てその一点に収束していくので非常にまとまりが良い。リメイク前のスペイン版も観てみたくなる良作でした。



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