「シェルター 狂気の秘密」 感想(ネタバレあり) その女は羊か狼か

概要

原題:Harm's Way
製作:2008年カナダ
発売:アマゾンプライムビデオ
監督:メラニー・オア
出演:キャスリーン・クインラン/イングリッド・カヴェラルス/ハンナ・ロックナー

ダーリーンは娘を連れ、街から遠く離れた虐待を受けた女性たちが避難するシェルターへ。管理人の女性ビーは、来る者たちの内情を詮索せず好きなだけ滞在していいと親子を受け入れてくれた。しかしダーリーンは、親身になってくれる一方、何かとルールを強いるビーに違和感を抱き始める。
(↑アマゾン商品紹介より)

予告編

予告編はありませんでした…。

感想





プライムで昨日から配信開始の新作サスペンス・スリラー。と言っても製作は2008年なのでかなり古め。なんで今更こんなものが発掘されてきたのか。日本ではDVDが出なかっただけあってかなり地味目な映画です。いや、これはテレビ用のサスペンスドラマなのかな。しかしプライムで配信されるホラーはZ級ばかりですが、サスペンスはわりと良質なものも少なくない。本作もめちゃくちゃ地味ながらボチボチ楽しめる出来ではありました。



女性たちが避難するDVシェルター…というか農場にやってきた訳ありの母娘ダーリーンとビクトリア。管理人のビーは何も聞かずに暖かく迎え入れてくれるが、そこで過ごすには厳しい掟を守らなければならなかった。

という話ですが、サスペンスやホラーではあまり見たことのないシチュエーションです。DVシェルターというものが存在するとは知っていても、そこに興味を持ったことはなかった。なのでどういう施設なのか全く知りません。まあそりゃ加害者に見つかったらマズイだろうし、あまり公にしてはいけない極秘施設も同然の扱いなんでしょうけど。

本作の場合はビーというおばさんが一人でやってる農場がシェルターなわけですが、厳しい掟と言っても「農作業を手伝うこと」「酒・タバコは禁止」「納屋を覗くのは禁止」ってことぐらいです。「何かとルールを強いる」というほどでもない。楽勝ですね。
しかし、ダーリーンは当然のように酒を飲みタバコを吸い、納屋に侵入します。決まりは破るためにあるとでも言わんばかりの蛮行。図々しいおばさんはこれだから困る。まあ酒とタバコはともかく、覗いたらダメと言われたら覗きたくなる気持ちは分からんでもないですが。

で、その納屋の中にはなんと監禁拘束されてる女性の姿が!
しかも死を懇願するほど苦しめられている!


という予想通りのベタな展開。
なんですが、ビーがなぜそんなことをしているのかが最後までよく分かりませんでした。掟を破った悪い子だから制裁を与えて更生させようとしていたって話なのかな。いや、今まで捕まってないわけだから全員殺処分確定か。ただ、どんな苦しい目に遭わせていたかとかそういう描写は一切ないのでゴアシーンなども全くありません。なのでビーがそんなに狂ってるようにも見えないし、大した山場もなく非常に淡泊です。

しかし、最後の最後だけはちょっとだけひねりが効いています。なぜダーリーンとビクトリアは警察から身を隠さねばならなかったのか。ヤギと狼、赤ずきんの話が意味するところとは何か。刃物を持っていないと安心できない性分とは。伏線を張りすぎてて誰でも予想できるオチではありますが、全体としてはそこそこ悪くない。過度な期待は禁物ですが、プライム会員なら観てもさほど損はしないんじゃないでしょうか。

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