「ザ・パラサイト 寄生する獣」 感想 悪夢的NGシーン集

概要

原題:Blackwake
製作:2018年アメリカ
発売:ニューセレクト(プライムウェーブ)
監督:ジェレミア・キップ
出演:ナナ・ゴウベア/トム・サイズモア/エリック・ロバーツ/ヴィンセント・パストーレ/チャック・ジト/ジョニー・ボーチャンプ

アメリカ東海岸で続発する、謎の変死事件。遺体はいずれも頭が内部から破裂したように、頭蓋骨が損傷していた。調査に乗り出した女性科学者のルイザは、未知の《寄生生物》の存在を知る。その怪物は人体に侵入し、神経を支配して人間を操る。寄生された人間はゾンビのように狂暴化し、最後は脳を食い荒らされて死に至るのだ。ルイザが真相にたどり着いた頃、CIAも事態の隠蔽に動き出す。だが、すべては手遅れだった。人類に破滅をもたらす、恐るべき《侵略》は開始された……。

(↑ニューセレクトHPより)

予告編




感想


頭が内部から破裂した死体が次々と発見される。その調査に当たった女性科学者は寄生虫のような生物の存在を確信するが、その背後にはもっと大きな何者かの意思が働いており、だんだんと狂気に憑りつかれていく…という話。

要は私の苦手なクトゥルフ神話がモチーフの映画なんですが、さらに私の嫌いなモキュメンタリーを組み合わせており、見ていて二重につらい作品でした。どうもクトゥルフ神話系ホラーって何が楽しいのかさっぱりわからないんですよね。私の敬愛するジョン・カーペンター監督の「マウス・オブ・マッドネス」も評判が良かったからすごく期待して鑑賞したら全く楽しめなくてひどく落胆した記憶があります。最近だと「リバイアサンX」あたりもそうだったかな。

そもそもラブクラフトの小説を読んでないと手出ししてはいけないジャンルなのかもしれませんが、仮に読んでたとしても本作は擁護できないクオリティかなと思います。

何といってもまずモキュメンタリー仕立てなのがよろしくない。主人公の女性科学者が集めた断片的な映像をただただ垂れ流しているだけで、内容もいろんな人がサソリみたいな寄生虫に襲われて死亡、または寄生された人に襲われて死亡とワンパターンな映像ばかりですぐに飽きます。女性科学者はひたすら頭がおかしくなった態で暗いポエムを吟じているように見えてウンザリしてくるし、とてもじゃないけど79分もの尺を埋められるほどの内容ではありません。

クソ映画界で引っ張りだこのエリック・ロバーツがまた出演していますが、珍しく別に悪辣でもイヤミでもない普通の常識人役…かと思ったら2分ぐらいで死んでしまうので単にイヤミさを発揮する暇もなかっただけでした。一体何しに出てきたのか。クレジットで無駄に上位にいるあたり箔付けとしか思えませんが、未だに箔があると思われていることに驚きます。さらにトム・サイズモアも出ていますが、この2人は本当にクソ映画御用達俳優になったなあ…。


で、本作の最大の特徴は本編が79分しかないのにNGシーン&メイキング映像集が12分間もあることです。長い、長すぎる。しかもご丁寧に吹替も入ってる。むしろここがメインコンテンツなのではと疑うレベルで充実している。そもそも、このレベルの映画でいちいちNGを出していることに驚きを禁じ得ない。こんな映画でも俳優は緊張してセリフを言えなかったり、監督は完璧な演技を求めているという悪夢的現実。それ以前に気にすべきところが山ほどあるだろと。クトゥルフ神話系ホラーは登場人物がみな狂気に飲み込まれていきますが、そもそも作り手側が狂気の海に沈んでいるのではないか。とりあえず今後はジャケ絵に触手が描かれている映画を借りるのはやめておこう。そんな風に思いました。

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