「リバース・オブ・ブリッツ」 感想(ネタバレあり) キャリー vs マイケル・パレ

概要

原題:REBORN
製作:2019年アメリカ
発売:プルーク
監督:ジュリアン・リチャーズ
出演:バーバラ・クランプトン/ケリー・ギルバート/マイケル・パレ/レイ・ドーン・チョン/モンテ・マーカム/チャズ・ボノ/アレクサ・マリス

遺体安置所にカミナリが落ち、放置されていた赤子が蘇生。係員が勝手に連れ帰りテスと名付けて育てるが、彼女は電撃を操る能力を身に着けていた。テスは16歳の誕生日に育ての親を始末し、自らの出生を探るため生みの母親を探しはじめるが…

予告編



感想


超能力少女が自らの出生を探るため、母親を探し出すがなんやかんやムカつく邪魔者たちを超能力でブチ殺しているうちに悪魔のようになってしまい、母娘の再会と共に悲劇が訪れる…といった話。



スティーブン・キングの「キャリー」とか「ファイアスターター」を思わせる設定というかおそらくそれらのオマージュだと思うんですが、そのせいかいまいちオリジナリティに欠けています。キャリーもファイアスターターも40年以上前に書かれた古い小説で、映画版ももう古典の域に入っていますが、それらを模倣した結果本作も全体的にかなり古臭いムードになってしまっています。監督としてはそれで満足しているのかもしれませんが、今の時代にこの古臭さはちょっといかがなものか。

かといってそんなに出来が悪いわけではなく、テスが電撃を操る超能力を用いて殺人を重ねていくシーンはそこそこ恐ろしいです。もうちょっと派手な劇伴で恐怖を煽ってくれればもっとスリリングになったと思うんですが、えらく淡々としているため非常にもったいない感じ。テスの心理描写が全くないのもそれに拍車をかけてます。主人公はテスじゃなくて母親の方だったみたいですが。


尺が70分ちょっとしかないためかストーリーも特にどうということはなく、あんまり起伏がない。テスも母親を探すのに手間取ることなくアッサリ再会を果たしてしまいます。ただ再会してもテスは自分が娘だとなかなか言わずに無駄に殺人を重ねることになるんですが、そこら辺は尺稼ぎ以外の理由が見出せませんでしたね。人殺しをする前にさっさとカミングアウトしておけば平和的に解決したような気がする。なんであんなにモタモタしていたのか。

で、見逃せないポイントとしてはその殺人事件の捜査を担当するのがマイケル・パレ刑事だということです。いつもゲス野郎か裏切者のどっちかであるのが定番のマイケル・パレですが、本作はなぜか裏表がなく誠実で性格の良い刑事役。これは面白くない。そんな当たり前の役ならわざわざマイケル・パレがやらんでもいいと思う。というか最近全然裏切ってくれない気がするなあ。今更イメージチェンジを画策しているんでしょうか。もう遅いよ。


オチはまんま「キャリー」すぎてビックリしたんですが、さすがに21世紀にもなって古典の剽窃はいけないだろうと思ったのかさらに余計な2段構えのオチを付け加えて玉砕しています。あれじゃ「シベリア超特急」とあまり変わらないのではないか。どっちにしてもアレだ。映画好きな人が映画を撮るとどうしてこういうロクでもないことをしたがるかなあ…。

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