「7500(2020)」 感想 ハイジャックのドキュメント記録映像のような映画

概要

原題:7500
製作:2020年ドイツ・オーストリア・アメリカ
発売:アマゾンプライムビデオ配信
監督:パトリック・ヴォルラス
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット/オミッド・メマー/カルロ・キッツリンガー

ベルリン発、パリ行きの旅客機がイスラム過激派にハイジャックされそうになってしまう。副操縦士のトビアスはハイジャック犯をコックピットに入れまいとするが、恋人のキャビンアテンダントを人質に取られてしまい…。

予告編




感想


全く同名の心霊飛行機ホラーがあって非常に紛らわしいのですが、本作は非ホラーのアマゾンプライムオリジナル作品です。「7500」とは高度7500フィートという意味なのかと思ってましたがこれはハイジャックを意味するコードとのこと。



アマプラも今月はあまりふざけた謎ホラーを配信してくれなくてシリアスな作品ばかり出してくるのがちと悲しい。itn distributionは最近何をサボっているのか。私が毎回毎回「itn印の作品は異常なほどクソ」「クソ映画を超えた何か」などとけなしまくっているから気を悪くしたんでしょうか?
でも本当のことだからなあ。


本作もこれ以上ないほど超シリアスで笑いどころなど一切ない、何ならエンタメとも言えないくらいくそまじめな映画でした。

旅客機のハイジャックを描いた作品なのですが、初めからずっとコックピットの中だけしか映されません。徹頭徹尾副操縦士目線を貫き通し、リアルタイムで進行し、かつ劇伴の一つさえ全くかからない。徹底してリアリズムを追求したリアルハイジャック再現映画と言えます。まるで再現ドラマのような…と言いたいところなんですが、再現ドラマでも劇伴でスリルを煽ってくれますよね。


そんな記録映像のごとき淡々とした雰囲気で緊迫のハイジャック劇を見せてくれるわけですが、本作の場合は劇伴がなくても十分スリリングです。普通の劇映画だったらそうあっさり死なせないだろうという人物でもサックリ死なせてくる。

現実にこんな恐ろしいことに巻き込まれたら巻き込まれたで目の前の出来事が信じられなくて「現実感がないなあ」と感じるはずなんですよ。そういう感覚すら味わえるほどのリアルさ。これはなかなかの鬱映画です。エンディングにも全く救いがなく、最後に鳴り響く携帯の着信音が実にイヤな余韻を残してくれます。

ただ気になるのは、ハイジャック犯が実にステレオタイプなイスラム過激派で、目的もいつもの自爆テロだということです。今更偏見を助長するからどうのと言う気も起きませんが、テロリストの中に覚悟完了できてない少年が混じっているのはいかがなものか。

まあその少年を通じて副操縦士が活路を見出す話ではあるんですが、旅客機を乗っ取って自爆テロを行うようなイスラム過激派は冷酷なエリートや洗脳済みの人員を選出して確実に遂行しようとするものじゃないのかなと。あんな浮足立った少年が混じってたら自爆テロなんて上手くいくわけがない。なので、そこだけあまりリアルじゃないような気がしてしまいました。





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