「養鬼(悪魔の胎児)」 感想 驚愕のタイ式運気上昇術

概要

原題:養鬼

製作:1980年香港

配信:Wu Tang Collection

監督:ウィルソン・トン

出演:ノーマン・チュー/スイ・リー/メルヴィン・ウォン/シド・ンー/トム・チン


何かと男運がないジャッキーは、友人のすすめで子供の幽霊を養って運気を取り戻す。だが、そのためにはかなり面倒な儀式を定期的に行う必要があった。それをサボったせいか、それともイケてる彼氏を作ったせいか、子供の幽霊が怒り出して彼氏に憑りつき、とんでもない事態を引き起こす。


予告編




感想



1980年製のだいぶ様子がおかしい香港映画。

今回はちょぷちょぷさんのオススメで観てみました。


ちなみにちょぷちょぷさんは以前私が「グラクソ・スミスクラインは社名にクソが入っているから好き」などとブログに書いた影響で株を始めたというお方で、時折メールを送ってくれます。軽い気持ちで変なことを書いたらどこで何が起こっているか分かったもんじゃないですね。



そんな彼によると本作は


「サブスタンス」はこの作品を下敷きにしているような気がする

いや、そうであって欲しい!」


とのことです。



私が観てみたところ、おそらくサブスタンスの監督はこの映画を知らないんじゃないかなと思いましたが笑、内容自体は途方もなくいかれていて非常に面白かったです。



まず極端に男運に恵まれないジャッキーがその対策として「どっかの子供の幽霊を養う」というクレイジーな方法を軽く選択するところからして異常極まりなく、引き込まれます。正直もうこの時点でサブスタンスを圧倒する異常さです。何の葛藤もなければ理由の説明もない。ホイホイと胡散臭い呪術師の元へ行き、怪しすぎる儀式を受けて子供の霊を連れ帰ってしまう。ペットショップに行ってきましたくらいの顔で。本当にそれでいいのか?どう見ても余計な呪いを背負ってしまったとしか思えない。ちなみに香港映画ですが舞台はタイです。



しかも子霊を怒らせず維持するために課された儀式がめんどくさすぎる。サブスタンスよりはまあ楽ですが、立派な祭壇に祀ったり、ミルクを飲ませたり、決まった服装で血を捧げたりしなくてはいけない。血を献上するならミルクはいらないのではないか? 養うというからには幽霊もカルシウムで成長するのでしょうか。



しかし一応はその甲斐あってナンパしてきた男どもを雑にブチ転がしたり、口の中に大量の蛆虫を突っ込んだりしてくれる。リアルすぎてキモいというか本当にやってるっぽい。こんな映画であんなに体を張ってるのはこの時代の香港映画ならではですね。これでジャッキーの今後は安泰?しかもイケてる彼氏までゲットできてしまう。怪しい見た目に反して霊験あらたかご利益抜群。



しかし面倒な儀式をサボったせいで子供の霊が大暴走。この辺にサブスタンスみがないこともない…か? 最初の説明だと血を捧げるのは月イチで良かったはずですが、2回目でいきなりサボったんでしょうか。作中の時間経過の具合がよくわかんないんですよね。



まあしかしそんなことはすぐにどうでもよくなるくらいアホでド派手な霊とのバトルが面白すぎた。特に社員がみんな子供化して襲ってくるシーンなど、別に何のメイクもしてないのでただの子供たちがワーワー押し寄せてくるだけの微笑ましい映像となっており、ビビる要素がひとつもなくて逆にビックリします。なんという珍場面。



殺人シーンにしても、どこから持ち出したのか巨大なフォークで突き刺して巨大なスプーンで血を受けるとか妙に凝ってるわりに意味がわからない。大五郎カットの呪術師が参戦してくるクライマックスではむやみにハイジャンプ宙返りをかましながら額から怪光線を撃ちまくり、延々と暗い森の中でひたすら珍妙なバトルを繰り広げまくる。いつまで戦ってるんだこれ? と思っていたら何の予兆もオチもなく突然「終劇」!!一体何が終わったのか!?昔の香港映画ではわりとあるあるですが…いや、ここまで唐突なのはさすがにないかな…。まあそういうところも含めて実にエキサイティングな珍作だったと思います。






「養鬼(悪魔の胎児)」(Amazon Prime Video)



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