「Xトーナメント」 感想(ネタバレあり) エクストリームサイコホラー

概要

原題:RIDE
製作:2018年イタリア
発売:AMGエンタテイメント
監督:ヤコポ・ロンディネッリ
出演:ロレンゾ・リケルミー/ルドヴィク・ヒューズ/シモーネ・ラバルガ/マット・リッピー/マーク・アーノルド/ヴィンチェンツォ・テネシー

エクストリームスポーツを動画にして小銭を稼いでいるカイルとマックス。しかし子育てや借金で首が回らなくなりつつあった。そんなある時、「ブラックバビロン」という組織から奇妙なオファーが届く。そのコンテストで勝てば、賞金25万ドルが手に入ると言うのだが…

予告編




感想


マウンテンバイクでのダウンヒル殺人レースが題材ということで、ド派手でスカッとするアクションを存分に堪能できるのかと思いきや、電波的でサイコホラー的な要素が強い怪作でした。これは珍作ではなく怪作と呼びたい。純粋にエクストリームスポーツの爽快感を期待して借りた人は皆唖然とすることでしょう。

2020年夏、ついに東京五輪開幕! その裏で、究極の殺戮レース《X-トーナメント》が開幕!!

って宣伝してますが、東京五輪は延期になっちゃいましたからねえ…
いや五輪はどうでもいいんですが、そもそも全くトーナメントしてなかったのはいかがなものか。一応二人一組で五組の計10人が参戦してることになってるんですが、主人公のカイルとマックス以外の選手は全然映らないんですよね。なので、公式のあらすじの「カイルは強豪プレイヤーを打ち倒していくが…」ってのも完全に虚構なわけです。



「ブラックバビロン」なる謎の組織が秘密裏に主催するコンテストに参加したカイルとマックス。
序盤はまともなレースに見えます。
ジャンプした時にトリックを決めればポイントが得られるので、空中でマウンテンバイクを横に回したり縦回転したりと序盤だけは本当に期待通りのエクストリームスポーツが拝めます。

しかし、クララという女性参加者が助けを求めて絡んできてからは何だか変な展開に…。
この女、相方が事故ったとかでパニックを起こしているんですが、その発狂っぷりが半端なさ過ぎるんです。行動も金切声も異常に不愉快極まる。これはレースなんぞしてる場合じゃねえってことでカイルとマックスは何だかんだ揉めながらもリタイアすることに。しかしすんなりリタイアさせてもらえるはずもなく、主催者とクララの異常な不気味さが際立ちはじめ、一気にサイコスリラー風味の展開に。爽快感など微塵もありませんよ。


主催者とクララの目的がまるで分からないまま、奇妙な仕掛けで嫌がらせをしてくる様子はかなり異常かつ不愉快でゾッとします。
マックスの「一体俺をどうしたいんだよ!」という叫びにはこの上なく共感を覚えましたね。

カイルとマックスの間にも何だか確執があって揉めまくりの怒鳴り合いばかりだし、カメラはブレブレでノイズは入るわで見てて気持ち悪くなってしまいました。この殺戮レース(?)は金持ちが鑑賞して楽しんでるはずなんですが、陰湿で歪みすぎてて何も面白くないと思うんですがね。

しまいには、これは悪魔崇拝集団の電波的儀式だったみたいな話になってましたが…
エクストリームスポーツ&悪魔崇拝儀式…
実に奇妙すぎる取り合わせですなあ。
食べ物で例えるとジンギスカンキャラメルのような不愉快な相乗効果はあったかもしれませんが、何にせよとにかく気持ち悪かった。これから借りようと思っている人は、アクションではなくあくまでもサイコスリラー、ホラーのつもりで見た方がいいかと思います。

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